教育

大学院(オープン):地理学基礎問題研究演習 2018(前期)

空間と権力の諸相

Aspects of Space and Power

教室と時間: 文学部増築棟L263号室
毎週火曜日、午後1時から2時30分

担当: 山崎孝史(やまざきたかし)
連絡先: yamataka[at]lit.osaka-cu.ac.jp
担当者ホームページ: http://polgeog.jp/

I 担当教員のプロフィール

1961年京都市生まれ。2004年コロラド大学大学院博士課程修了(Ph.D.)。専門は政治地理学、特に地域社会軍事化、地政学、社会運動、アイデンティティ・ポリティクス。調査フィールドは沖縄。沖縄の基地所在市町村の変容、日米安全保障関係の変化と社会運動や投票行動との関わりを研究中。特技は合気道(四段)。

II 科目の主題

この科目は地理学という学問がどのような課題と方法を持つのかについて、19世紀初頭における近代地理学成立以来の発展過程を振り返りながら、考察することを目的とします。なかでも19世紀の末にヨーロッパで誕生した「政治地理学」の戦前から戦後にかけての展開を軸に、空間と権力に係る主要な概念について理論と事例の両面から接近していきます。なお、本演習は学部生にも開放されています。

III 達成目標

  1. 戦前の地政学への反省から戦後に批判的に再構築された政治地理学の理論と概念について理解します。
  2. 空間と権力との関係に係る、「領域性」、「言説」、「ナショナリズム」、「公共選択」といったトピックについて考察します。
  3. 政治地理学の諸理論・概念を現実社会の事例に適用する方法を学びます。
  4. 演習をとおして自ら選んだテーマと事例についてレポートを作成し、理解を深めます。

IV 授業内容・授業計画(暫定案)

週番号 月日 テーマ 課題文献(予定)
1  4月10日  イントロダクション:演習の構成  
2  4月17日  領域性1:領域と領域性  山崎 2016
3  4月24日  領域性2:領域性の理論  サック 2007
4  5月8日  領域性3:規律・監視する空間  フーコー 1977
5  5月15日  空間の言説1:言葉と政治権力  オツッアセール・アグニュー 1998
6  5月22日  空間の言説2:地政学の相貌  山崎 2017a
7  5月29日  空間の言説3:場所の言説  森久 2008
8  6月5日  ナショナリズム1:領土問題とは  玄  2006
9  6月12日  ナショナリズム2:沖縄の復帰運動  山崎 2007
10  6月19日  ナショナリズム3:辺境の保守化  山崎 2018
11  6月26日  公共選択1:足による投票  山崎 1999
12  7月3日  公共選択2:自治体の破綻と退出  浅羽 2009
13  7月10日  公共選択3:民意による自治体の解体  山崎 2017b
14  7月17日  レポートテーマについての発表(該当者) 
15  7月24日  期末レポート・メール提出(学部講義用執筆要領) 

V 評価方法

  1.  出席・参加:毎週の演習では教員・受講生間で課題文献の内容について討議します。必ず出席し、積極的に討議に参加してください。出席数が2/3以上の受講生を評価対象とします。(評価配分10%)
  2. リーディング・レポート:各週の授業日の前日午後5時までに、その週の章と課題文献について要約、論評、および疑問点を提示した800字程度のショート・レポートをテキスト形式(HTML形式や添付ファイルは避けてください)の電子メールで政治地理ML(polgeog2010[at]lit.osaka-cu.ac.jp)あてに送付してください。(評価配分50%)
  3. 期末レポート:演習で言及された理論的視角を用いて、国内外の事例を選び、その理論的視角の有効性と修正すべき点を解説してください。字数は6000字(学部生は4000字)程度とします。(評価配分40%)
  4. 評価:評点が全体の60%以上の受講生を合格とします。

VI 教材・参考文献

本演習のテーマについては、山崎孝史(2013)『政治・空間・場所―「政治の地理学」にむけて[改訂版]』(ナカニシヤ出版)が参考になります。下記の課題文献の入手については演習中に指示します。

浅羽隆史(2009)「足による投票の現実性」白鴎法學 15-2,pp. 195-210.

オツァセール,G., アグニュー,J.(1998)「地政学と言説―アメリカの外交政策にみられる実践的な地政学論」森崎正寛・高木彰彦訳,空間・社会・地理思想3:pp. 155-168.

サック,R. D.(2007)「領域性の理論」 山﨑孝史訳、空間・社会・地理思想11:pp. 92-110.

玄大松(ひょん・でそん)(2006)「「独島/竹島問題」という問題」『領土ナショナリズムの誕生―「独島/竹島問題」の政治学』ミネルヴァ書房

フーコー,M. (1977)『監獄の誕生―監視と処罰』田村俶訳,新潮社

森久 聡(2008)「地域政治における空間の刷新と存続―福山市・鞆の浦「鞆港保存問題」に関する空間と政治のモノグラフ」社会学評論59-2,pp. 349-368.

山﨑孝史(1999)「アメリカ大都市圏の政治的分節化と公共選択論―ティボー仮説をめぐって成田孝三編『大都市圏研究―多様なアプローチ (下)』大明堂,pp. 232-247.

山﨑孝史(2007)「戦後沖縄の境界・領域と政治行動―領土の分離・統合と闘争のイデオロギー」史林90-1,pp. 179-209.

山﨑孝史(2016)「境界,領域,「領土の罠」―概念の理解のために地理61-6,pp. 88-96.

山﨑孝史(2017a)「地政学の相貌についての覚書」現代思想45-18,pp. 51-59.

山﨑孝史(2017b)「リスケーリングの政治としての「大阪都構想」」佐藤正志・前田洋介編『ローカル・ガバナンスと地域』ナカニシヤ出版,pp. 82-103.

山﨑孝史(2018)「「地政学」から沖縄県政をとらえる」地理63-3,pp. 38-45.

VII その他

演習の課題ほかについて相談したいことがある場合は、遠慮なく山崎までご連絡ください。