教育

【京都大学集中講義】地理学(特殊講義)2018前期 

政治地理学入門―理論編
Geography (Special Lectures)
Introduction to Political Geography: Its Theories and Concepts

教室と時間
京都大学大学院文学研究科・文学部
2018年9月10日~13日

担当:山崎孝史(やまざきたかし、大阪市立大学文学研究院教授)
連絡先: yamataka[at]lit.osaka-cu.ac.jp
担当者ホームページ: http://polgeog.jp/
講義ホームページ: http://polgeog.jp/archives/1724

I 担当教員のプロフィール

1961年京都市生まれ。2004年コロラド大学大学院博士課程修了(Ph.D.)。専門は政治地理学、特に地域社会軍事化、地政学、社会運動、アイデンティティ・ポリティクス。調査フィールドは沖縄。沖縄の基地所在市町村の変容、日米安全保障関係の変化と社会運動や投票行動との関わりを研究中。特技は合気道(四段)。

II 授業の概要・目的

本講義は、現代社会の諸問題に対し地理学的に接近する一つの視角として「政治」という側面について考えます。政治事象を扱う地理学の分野は「政治地理学」と呼ばれますが、諸外国とは異なり、日本ではさほど盛んではなく、研究者も限られています。本講義はそうした政治地理学への入門として、特に政治地理学の歴史と理論について講述します。この「理論編」では、19世紀末から政治と地理学がどのように関係づけられ、帝国主義世界の中で地政学へと展開し、戦後の断絶と停滞を経て、英米を中心に再構築され、人文地理学の主要分野へと復興したかを解説し、この過程から生まれてきたいくつかの重要な理論や概念を、豊富な事例を交えながら紹介します。これらの理論や概念は政治地理学のみならず人文地理学一般の考察においても有効な知見を与えるでしょう。

III 到達目標

本講義は政治地理学において体系化された理論と、洗練された概念によって、政治事象と空間や場所との密接な結びつき、つまり「政治」を地理学的に研究する有効性を理解することを目指します。そのために、①近代政治地理学の展開を批判的に振り返り、国際社会の変動を理解する視座として政治地理学の有効性を検討します。②マルチ・スケールの観点から、空間・場所・領域に関する政治地理学的理論を理解します。そして③コンテクスト・スケール・言説といった概念を用い、グローバル/ローカルな政治事象の分析方法を把握します。以上の過程を経て、地理的事象として見落とされがちな「政治」の諸側面を自らの研究の中に取り込むことが可能となるでしょう。

IV 授業内容・授業計画

本講義は4日15回からなります。第1日は「政治地理学史」を主題に政治地理学・地政学の近現代史を振り返り、現在の政治地理学的研究の内外の動向を講述します。第2日は「政治地理学の諸理論」と題し、1980年代以降の主として英米の政治地理学理論について、場所や領域性に関わるアプローチについて解説します。第3日は「政治地理学の諸概念」として、コンテクスト、スケール、言説という概念から政治地理学的研究について考察します。第4日は「さらなる理論・概念の展開へ」というメインテーマで、第3日までの講義内容を、「脱領域化と再領域化」、「新自由主義とリスケーリングの政治」、そして「平和と環境の政治地理学へ」というサブテーマでに展開します。各講義日の最後にはテキストの章や課題文献と講義内容に沿って、受講生による討論の時間を設け、講義内容の理解を深めます。

以下、各講義日のリンクをクリックすればその日の課題と講義スライド(PDFファイル)をダウンロードすることができます。

講義日 テーマ(予習課題となる章・文献) スライド
第1日(9月10日) 政治地理学史
第1回 政治地理学の起源と地政学の盛衰(文献 PDF
第2回 戦後の政治地理学―その日本的展開(教科書2章) PDF
第3回 政治地理学の展開と課題(3章 PDF
第2日(9月11日) 政治地理学の諸理論
第4回 空間分析批判(4章) PDF
第5回 場所の政治的意味(5章) PDF
第6回  人間の領域性(6章) PDF
第7回 討論  
第3日(9月12日) 政治地理学の諸概念
第8回  コンテクストの政治(8章) PDF
第9回 スケールの政治(9章) PDF
第10回 言説の政治(10章) PDF
第11回 討論  
第4日(9月13日) さらなる理論・概念の展開へ
第12回 脱領域化と再領域化(7章) PDF
第13回  新自由主義とリスケーリングの政治(文献 PDF
第14回 平和と環境の政治地理学へ(文献 PDF
第15回 討論とレポート執筆ガイダンス 執筆要領(参考)
第5日(9月20日) 期末レポート提出(教員あて午後5時まで)  

V 評価方法

(1) 出席
各日の講義には必ず出席して下さい。出席数が3日以上の受講生を評価対象とします。欠席の場合はその他の評価得点から減点する措置をとりますが、病欠などの場合は診断書のコピー等の提出があれば減点しません。

(2) 各日のレポート(評価配分50%)
予習として各日講義前に本ページに沿って、教科書の指定章(複数章)あるいは課題文献を読み、疑問点や討論したい点をワ―プロで文章化し、講義時に②講義内容に沿って手書きで論点を絞り込み、③(自ら発言した)討論の内容・感想について書き込み、講義後に提出してください。書式はA4判を縦に用い、横書き(両面使用可)で1日1枚以内とします。特定の章やテーマに論点が偏っても構いません。発言した内容があればその旨記してください。加点の要素になります。

書式は、用紙の左上にワープロで以下のように記入してください。A4判の用紙の上から約1/3の部分に①をワープロで記入したものに、講義中に残りの約2/3の部分に手書きで②と③を記入して、講義後に提出してください。分量は目安ですので、講義日当日の記述が用紙の裏にまたがっても構いません。

   講義日:
   学籍番号:            氏名:

(3) 最終レポート(評価配分50%) 
執筆要領を参考に、講義中に解説した特定のテーマを選び、そこで言及された理論や概念を講義で「言及されていない」事例に用いて、その理論や概念の妥当性と非妥当性双方について論評してください。第15回の授業でレポートの書き方について改めて説明します。9月20日(木)午後5時までに教員まで電子メールの添付ファイルで提出してください。3日以上受講した人が最終レポートの評価対象となります。

(4) 講義ノート
講義はパワーポイントを用いて行い、板書は行いません。基本的にテキストに沿って進め、多数の画像を用いますので、必要な事項のみノートに書き取ってください。講義スライドの縮小版(PDFファイル)は上記リンクからダウンロードできます。なお、実際の講義が講義スライドの内容と異なる場合がありますので、ご了承ください。

(5) 評価
大学の規定に基づき評点が全体の60%以上の受講生を合格とします。

(6) 不正行為
課題等の不正提出や不正作成(盗作)、そのほか不正行為が認められた場合は、その時点で厳正な処置を行い、所属学部に報告します。遅刻・早退・講義中の私語など、講義妨害についても同様の処置を行います。

VI 教材・参考文献

本講義の教科書は山﨑孝史(2013)『政治・空間・場所―「政治の地理学」にむけて[改訂版]』(ナカニシヤ出版)です(旧版ではありませんのでご注意ください)。大学図書館やインターネットなどで入手可能ですので借用・購入しておいてください。

VII コミュニケーション

講義中の質問などは、講義中でも各回講義の後でも山崎までお知らせください。また、電子メールによる個別の質問・相談も受け付けます。