教育

大学院:地理学基礎問題研究 2015(後期)

政治・空間・場所−「政治の地理学」にむけて−

Higher Studies of Fundamental Problems in Geography
Space, Place, and Politics: Towards a Geography of Politics

教室と時間(予定): 文学部増築棟L263号室
毎週火曜日、午前10時40分から12時10分

担当: 山崎孝史(やまざきたかし)
連絡先: yamataka[at]lit.osaka-cu.ac.jp
担当者ホームページ: http://polgeog.jp/

I 担当教員のプロフィール

1961年京都市生まれ。2004年コロラド大学大学院博士課程修了(Ph.D.)。専門は政治地理学、特に地域社会軍事化、地政学、社会運動、アイデンティティ・ポリティクス。調査フィールドは沖縄。沖縄の基地所在市町村の変容、日米安全保障関係の変化と社会運動や投票行動との関わりを研究中。特技は合気道(四段)。

II 科目の主題

この科目は地理学という学問がどのような課題と方法を持つのかについて、19世紀初頭における近代地理学成立以来の発展過程を振り返りながら、考察することを目的とする。とりわけ1950年代以降の英語圏の地理学における諸スクールの研究分野と基本概念について詳細に検討します。

III 達成目標

  1. 近代政治地理学の展開を批判的に振り返りながら、国際社会の変動を理解する視座として政治地理学の有効性を理解します。
  2. マルチ・スケールの観点から、空間・場所・領域に関する政治地理学的理論を理解します。
  3. コンテクスト・スケール・言説という概念を用い、グローバル/ローカルな政治事象の分析方法を把握します。
  4. 以上の理論的・概念的理解をもとに、政治地理学的な事例研究へのアプローチを習得します。

IV 授業内容・授業計画(暫定案)

本講義は4部14回からなります。第1部は、近代における政治地理学の展開、つまり戦前の地政学から現代の政治地理学までの流れを、英米と日本においてあとづけ、「新しい地政学」および「場所の政治」研究の視角を示します。第2部は、空間や場所と権力との関係を明らかにしつつ、その関係を反映する領域の性質を理論的に解説した上で、グローバル化とナショナリズムについて政治地理学的に考えます。第3部は、「コンテクスト」、「スケール」、そして「言説」という政治地理学にとって鍵となる概念について説明し、それらを実証研究のなかでどのように活用しうるかを検討します。第4部は、第3部までの理論的・概念的な議論が、具体的な事例研究としてどのように展開できるかを解説しています。つまり本講義では、政治地理学の学史・理論・概念・実証というテーマが断続せず、前後のテーマと重なりあいながら展開する構成になっている。受講生がこれら4部からなる本講義を受講することによって、政治地理学の理論的視角のみならず、日常的に見られる政治的な出来事に対する感性と理解が深まることを期待します。

週番号 月日 テーマ
1 10月6日 イントロダクション:演習の構成
第1部 政治地理学がたどってきた道
2 10月13日 Chapter 1 政治地理学の起源と地政学の盛衰
課題文献(文献リストは特に注記がない限りテキスト参照) 柴田(2007)、小林・鳴海(2008)
3 10月20日 Chapter 2&3 戦後における政治地理学の展開と課題
課題文献 Yamazaki T. et al. (2012)
第2部 空間・場所・領域
4 10月27日 Chapter 4 空間分析批判
課題文献 Gregory, D. (2009) Space. In Gregory, D. et al. eds. The Dictionary of Human Geography, 5th Edition, Wiley-Blackwell
5 11月10日 Chapter 5 場所の政治的意味
課題文献 ステーリ(2006)
6 11月17日 Chapter 6 人間の領域性
課題文献 ロバート・D・サック、山崎孝史訳(2007)第2章「領域性の理論」 ロバート・D・サック『人間の領域性―その理論と歴史』空間・社会・地理思想11,pp. 92-110.
11月18日 集中講義事前演習 人権問題研究センター「サロンde人権」
発表者 山﨑孝史
発表 二つの「コザ騒動」―米軍統治下沖縄における住民蜂起の展開と意味
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7 11月24日 Chapter 7 グローバル化とナショナリズム
課題文献 ミンカ(2013)、Yamazaki (forthcoming)
第3部 コンテクスト/スケール/言説の政治
 11月28日  特別講義 ジョン・アグニュー教授政治地理学講演会(大阪市立大学文化交流センター)
発表者 John Agnew
発表 How Space Affects Politics: Themes in American Political Geography
8  12月1日  Chapter 8 コンテクストの政治
課題文献 Agnew, J. A. (1996) Mapping politics: how context counts in electoral geography. Political Geography 15(2), pp. 129-146. 
9  12月8日  Chapter 9 スケールの政治
課題文献 ブレナー(2011)、山﨑(2012)
 10  12月15日  Chapter 10 言説の政治
課題文献 山﨑(2011)、山﨑孝史(2015)「地政言説から政治を読む」竹中克行ほか編『人文地理学への招待』ミネルヴァ書房
 第4部 事例研究にむけて
11   12月22日 Chapter 11 大都市圏行政と公共選択論
課題文献 浅羽隆史(2009)「足による投票の現実性」白鴎法學 15(2),pp. 195-210.
12   1月12日  Chapter 12 政党の編成と投票行動
課題文献 山﨑(2006a)、山﨑孝史(2014)「国家の「中心」と「周辺」―政党対立からみた沖縄の分断」α-SYNODOS 162/163
13   1月19日  Chapter 13 領域と社会運動
課題文献 山﨑(2007a) Yamazaki (forthcoming)
14   1月26日  Chapter 14 安全と安心のまちづくり
課題文献 中谷・矢野(2008) 梶田真(2014)「地理学において「純粋理論」と「実践・応用」とは乖離しているのだろうか―1970年代以降のアメリカを中心とする応用地理学の展開を糸口として」人文地理 66(5),pp. 423-442.
15   2月9日  期末レポート・メール提出(学部講義用執筆要領

V 評価方法

  1.  出席・参加:毎週の演習では教員・受講生間で課題文献の内容について討議します。必ず出席し、積極的に討議に参加してください。出席数が2/3以上の受講生を評価対象とします。(評価配分10%)
  2. リーディング・レポート:各週の授業日の前日午後5時までに、その週の章と課題文献について要約、論評、および疑問点を提示した1200字以内のショート・レポートをテキスト形式(HTML形式や添付ファイルは避けてください)の電子メールで政治地理ML(polgeog2010[at]lit.osaka-cu.ac.jp)あてに送付してください。(評価配分50%)
  3. 期末レポート:テキストの特定の章(複数でも構いません)で言及された理論的視角について原著を参照して論評し、その章で「言及されていない」事例で理論の妥当性を考察してください。字数は6000字程度とします。(評価配分40%)
  4. 評価:評点が全体の60%以上の受講生を合格とします。

VI 教材・参考文献

本講義のテキストは山崎孝史(2013)『政治・空間・場所―「政治の地理学」にむけて[改訂版]』(ナカニシヤ出版)です。生協の教科書販売場(本館講堂)で販売されていますので、必ず購入してください。

VII その他

演習の課題ほかについて相談したいことがある場合は、遠慮なく山崎までご連絡ください。