I 担当教員のプロフィール
1961年京都市生まれ。2004年コロラド大学大学院博士課程修了(Ph.D.)。専門は政治地理学、特に地域社会軍事化、地政学、社会運動、アイデンティティ・ポリティクス。調査フィールドは沖縄。沖縄の基地所在市町村の変容、日米安全保障関係の変化と社会運動や投票行動との関わりを研究中。特技は合気道(五段)。
II 授業概要
心理学・社会学・教育学と比べて地理学の成立は古く、人類を取り巻く環境と密接に関わる地理的知識の体系化はギリシャ・ローマ時代にさかのぼる。本授業は人間―環境関係と地理的知識の体系化がどのようになされてきたのかについて概説したうえで、それらを考察するためのいくつかのトピックを具体的に例示する。それによって、グローバル化の時代において多様な地理的スケールで発生する飢饉、貧困、抑圧、差別、紛争、環境破壊を考える上で、地理学的知識がどのような意味を持ちうるのかを考察する。特に本年度は地理学から「政治」をとらえる方法論的視角に焦点を据えていきたい。
III 到達目標
単に過去から現在に至る局地的な事象を考察することを超えて、人類史的な視点から世界や地球環境をとらえることを目標とする。そうした視点をベースに、グローバル化の時代において多様な地理的スケールで発生する飢饉、貧困、抑圧、差別、紛争、環境破壊を考える力を養う。そして、地理学史の展開を踏まえて、地球大での環境と平和に資する地理学的視点を身につける。
IV 授業内容・授業計画
提供される資料の内容は当日の授業内容と若干異なることがありますので、ご留意ください。
週番号 | 月日 | テーマ(テキストの章) | 資料(Moodle参照) |
---|---|---|---|
第1週 | 10月1日 | 「政治」を地理学する(序章) | |
第Ⅰ部 地理学で「政治」を捉える | |||
第2週 | 10月8日 | 民主主義(1章) | |
第3週 | 10月15日 | 支配と対立(2章) | |
第4週 | 10月22日 | 地方自治(3章) | |
第5週 | 10月29日 | 外交・安全保障(4章) | |
第6週 | 11月5日 | 環境をめぐる政治(5章) | |
第Ⅱ部 「政治」の地理的諸相を描く | |||
第7週 | 11月12日 | コミュニティ(6章) | |
第8週 | 11月19日 | 宗教(7章) | |
第9週 | 11月26日 | ジェンダー(8章) | |
第10週 | 12月3日 | 観光(9章) | |
第11週 | 12月10日 | 農産物(10章、オンデマンド) | |
第Ⅲ部 「政治」空間の形成と変容を追う | |||
第12週 | 12月17日 | 大阪と佐世保(11章) | |
第13週 | 1月7日 | ウトロ(12章) | |
第14週 | 1月14日 | 沖縄島(13章) | |
第15週 | 1月21日 | 対馬(14章) | |
期末テスト | |||
第16週 | 1月28日 | 期末テスト |
Ⅴ 事前事後学習の内容
事前学習として、毎週講義前に教科書の指定章を読み、Moodleで示される各週の課題を考察し、その回答(あるいは討論時に発言したい内容)を当該講義前に提出してください(週レポート課題)。 授業中に受講生から示された意見や質問に答えますので、事後学習としてその内容を期末テストの準備に活用して下さい。
Ⅵ 評価方法
(1) 出席
Moodleチェッカーで16週のうち11回以上の出席が確認される受講生を評価対象とします。欠席の場合はその他の評価得点から減点する措置をとりますが、体調などの理由による欠席や遅延はその証明となる書類(医療費領収書や診断書のコピー)の提出があれば欠席とはみなしません。
(2) 週リーディングレポート(評価配分60%)
予習として毎週講義前に教科書の指定章あるいは課題文献を読み、Moodleで示される各週の課題を考察し、その回答(疑問点)を当該講義前日(月曜日午後5時まで)にMoodleを通して提出してください。提出されたレポートには評点を(場合によってはコメントも加えて)お知らせする予定です。
(3) 期末テスト(評価配分40%)
学期末に記述式のテストを実施する予定です。実施形態は授業中に説明します。体調不良などの理由でやむを得ず欠席する場合は、学生サポートセンターで追試の申請をして下さい。
(4) 講義ノート
講義はパワーポイントで行います。各週授業開始日前に主としてMoodleにアップロードし、授業期間終了までアクセスできるようにします。講義内容に関する質問は掲示板に書き込んでください。速やかに回答します。
(5) 評価 大学の規定に基づき評点が全体の60%以上の受講生を合格とします。
(6) 不正行為
課題等の不正提出や不正作成(盗作)、そのほか不正行為が認められた場合は、その時点で厳正な処置を行い、所属学部に報告します。チャットや掲示板での迷惑行為についても同様の処置を行います。
Ⅶ 教材・参考文献
本講義のテキストは山﨑孝史(2022)『「政治」を地理学する―政治地理学の方法論』(ナカニシヤ出版)です。受講生は生協などで入手しておいて下さい。それ以外に必要な教材は主にMoodleを通して提供・指示します。
Ⅷ コミュニケーション
講義に関する教員からの連絡や指示はMoodleからお知らせします。受講生からの質問や意見はMoodleのディスカッション・フォーラムに書き込むことができます。また、教員ウェブサイトにも「質問フォーム」が設置されていますので、こちらからも質問することが可能です。いずれの場合にも速やかに回答します。尚、電子メールによる個別の質問・相談も受け付けます。
Ⅸ その他
講義の課題について相談したいことがある場合は、遠慮なく山崎までご連絡ください。