地理学講読演習Ⅱ 2021(後期)

Political geographies of Pacific islands: Japan-US relations seen from Okinawa and Hawai’i
太平洋島嶼の政治地理―沖縄とハワイからみる日米関係

教室と時間
文学部増築棟L363号室(変更する可能性があります)
毎週水曜日、午前10時50分から12時30分

担当教員:山崎孝史(やまざきたかし)
研究室:文学部増築棟L358号室
電話:06-6605-2407 Eメール:yamataka[at]lit.osaka-cu.ac.jp
オフィスアワー:事前連絡があれば随時面談可能です。

I 担当教員のプロフィール

1961年京都市生まれ。専門は政治地理学、特に地政学、社会運動、アイデンティティ・ポリティクス。調査フィールドは沖縄。日米安全保障関係の変化と沖縄の社会運動や投票行動との関わりを研究中。特技は合気道(4段)。米国西部にあるコロラド大学ボールダー校地理学部大学院に1998年から2001年まで3年間留学。

II 科目の主題

地理学において、外国語は少なくとも英語の能力を磨くことが求められます。なぜなら、学界の最新の研究動向を知るには英語文献の読解力が前提となり、 将来自らの仕事や研究の成果を国際的に発信していく上で英語が鍵を握るからです。本演習ではこうした観点から英語文献の精読とそれに関する文面・口頭発表から構成されます。特に本演習は、本学における「大学の世界展開力強化事業―日米をつなぐ共創的ソーシャルイノベーター育成プログラム 」(文部科学省助成)の一環として位置付けられています。COILとはCollaborative Online International Learningの略でZoomなどのICTを駆使した海外学生との地球規模のコミュニケーションにより、新しい観点や知識とより深い学びを得る教育方法です。後期にはハワイ大学マノア校地理環境学部と連携した授業を行い、受講生はハワイ大学生とオンライン上で交流しながら、課題に取り組みます。

III 授業の到達目標

本年度前期の講読演習は、”Political geographies of Pacific islands: Japan-US relations seen from Okinawa and Hawai’i(太平洋島嶼の政治地理―沖縄とハワイからみる日米関係 )”というテーマで、COIL型授業でハワイ大学地理環境学部と共有される課題を中心に、英語文献を精読、日本語を用いた課題の研究、その成果を英訳した上で、英語による口頭発表を行います。

IV 事前事後学習の内容

各週の翻訳課題や英作文は担当者が事前にGoogleドキュメントにアップロードし、教員のチェックを受けます。発表された成果については事後参照できるようGoogleドライブにアップロードします。

V 評価方法

(1) 出席:指定された期日までに各週の課題を提出すること、ならびに討論に当日参加することによって出席とみなします。出席(課題提出)数が2/3以上の受講生を評価対象とします。未提出や提出が遅れた場合は減点しますが、体調と関わる場合は考慮しますので、事前ないし事後にお知らせください。

・オンライン(遠隔)授業について
本演習では状況によって遠隔授業を実施することがあります。その場合はWebClass、Zoomなどのシステムやアプリケーションを活用する予定です。具体的な活用の手順は追ってお知らせしますが、受講予定者は(特に授業時間帯に)インターネットアクセス可能な環境とデバイスの確保を心がけてください。

(2) 各週の課題

・和英訳:前期同様に、オンライン翻訳サイトを用いて、課題文献について、全員で和英訳を進めます。課題の翻訳文と疑問点を演習実施日の前々日(各週月曜日)の午後5時までに指定のサイト(Googleドキュメント)にアップロードして下さい。

・課題研究:日本語で行います。ハワイ大と共有する割り当て課題(いくつかの質問から構成されます)について、インターネットや文献を用いてリサーチします。その上で、発表内容を英訳したものをハワイ大の受講生との意見交換に用います。

・口頭発表:詳細は追って伝えますが、1月に実施予定のハワイ大との双方向授業において、二人一組で課題研究について英語で短いプレゼンテーションを行います。質疑応答については通訳のサポートが入ります。

・沖縄フィールドワーク:コロナ感染拡大が沈静化した場合、12月下旬か、1月初旬に沖縄でのフィールドワークを実施します。参加は強制ではありませんが、参加経費の一部は助成されます。

(3) それぞれの課題の内容を評価し、総得点60点以上を合格とします。

VI 演習内容

各週のテーマは暫定的なもので、ハワイ大との調整によって変更される可能性があります。進行の目安と考えておいてください。

週番号 月 日 テーマ 課題文
1 10月6日 Introduction to the course  
2 10月13日 Indigeneity (1)   Hunt (2017)
3 10月20日 Indigeneity (2)  Hunt (2017)
4 10月27日 Indigenous people and regional development (1)  Winchell (2017)
5 11月10日 Indigenous people and regional development (2)  Winchell (2017)
6 11月17日 Orientation for assigned work  
7 11月24日 Japanese presentation for assigned work (1)  
8 12月1日 Japanese presentation for assigned work (2)  
9 12月8日 Japanese presentation for assigned work (3)  
10 12月15日 English translation of assigned work (1)  
11 12月22日 English translation of assigned work (2)  
1月4-6日 Field work in Okinawa(コロナ感染拡大により中止)  
12 1月12日 The COIL class with UHM (1): Self-introduction and team assignments  
13 1月19日  The COIL class with UHM (2): Exchange of opinions  
14 1月26日 The COIL class with UHM (3): Exchange of opinions  
15 2月4日 The COIL class with UHM (4): Team presentation  

VI 課題文献・辞書サイト 

翻訳に際してはテキストを一括して機械翻訳するDeepL(無料版)Google翻訳Weblio翻訳などがありますので、これらを併用して翻訳や英作文を進めて下さい。その他の連絡はWebClassほかを通して行います。

VII 辞書サイトとコミュニケーション

演習に関する諸連絡はGoogleドキュメント、WebClass、あるいは教員のホームページ「政治地理のページ」を通して行います。演習日以外にも質問などをポストすることができますので、活用してください。翻訳・英作文などで困ったことがあれば遠慮なく教員に相談して下さい。

 

地理学演習Ⅱ 2021(後期)

新型コロナをぶっとばせ:自己の関心の構造を知り、研究課題を練り上げる

時間と教室:
木曜日3限(13:20-15:00)
学術情報総合センター5F ラーニングコモンズ

担当教員:山崎孝史(やまざきたかし)
研究室:文学部棟358号室
電話:06-6605-2407
Eメール:yamataka[at]lit.osaka-cu.ac.jp
オフィスアワー:事前連絡があれば随時面談可能です。

I 担当教員のプロフィール

1961年京都市生まれ。専門は政治地理学、特に地政学、社会運動、アイデンティティ・ポリティクス。調査フィールドは沖縄。日米安全保障関係の変化と沖縄の社会運動や投票行動との関わりを研究中。特技は合気道(4段)。

II 演習概要

本演習は、これまでの専門科目の受講ならびに地理学演習Iを展開させる形で、自己の関心の構造を知り、取り組むべき課題を設定し、具体的な調査地と調査方法をイメージしながら、卒論計画書を作成します。ただし、新型コロナ感染拡大の状況に応じて柔軟に対面と遠隔の授業を組み合わせ、適宜地理的写真観察法や仮想フィールドワークを取り入れ、対象フィールドと卒論構想をつなぐ作業を進めます。本演習の集大成は年度末に予定されている第一回の卒論合同演習となります。今年度末の卒論・修論発表会への出席も義務付けられます。

III 演習の構成と評価

(1) 出席と参加
毎週の授業には必ず出席し、討論には積極的に参加して下さい。卒論・修論発表会への出席も義務付けられます。出席数が2/3以上の受講生を評価対象とします。欠席の場合は減点しますが、病欠などの場合は診断書や治療費領収書のコピー等を提示すれば減点しません。

(2) 課題プレゼンテーション
卒論計画書の作成に向けて、授業期間中数回の発表が義務付けられます。いずれも与えられた課題についてレジュメやパワーポイントを作成し、10分程度の発表を行います。(評価配分60点)

(3) 卒論計画書
卒論合同演習で使用する具体性のある卒論計画を作成します。(評価配分40点)

(4) 総得点60点以上を合格としますが、卒論計画書の提出がない場合は合格できません。

IV 演習内容

卒論のテーマの絞り込みは必ずしも容易ではありません。本演習ではお互いの研究関心について語り合い、評価し、励ましあいながら各自のテーマを考えていきます。ある程度テーマが現れたら先行研究などを参考にしながら、具体的なフィールドをイメージし、研究方法について考えます。そのプロセスは以下の6段階に分かれます。

マインドマッピング:各自がマインドマップを作成し、その構図から自分の関心の構成を理解します。漠然とした関心をいくつかの要素の関係から可視化する方法です。

写真観察法:①で見えてきた関心に沿って、各自が単独で野外調査を実施し、写真観察法によって景観の背後にある政治経済・社会文化的過程を探ります。例えば「○○化された」空間を見出す目を養います。引きこもるのをやめて街に出よう!

キーワード検索:検索エンジンや学術論文データベースを用いて、複数のキーワードを効果的に組み合わせ、自分の関心に近い学術論文を探し出します。

論文構成法:地理学分野を中心とする学術論文を題目、要旨、章節の構成、引用法などからその構成を理解し、分析方法と論述の組み立てについて理解します。そうした論文をモデルとして引用します。

Why仮説の構築:論文の研究課題として「なぜ○○なのか」という問いを立てることが重要になります。各自の関心あるテーマについて、地理学的なWhyを見つけ、それに対する仮説的な答え(○○だからではないか)を見出しうるフィールドを絞り込みます。

仮想フィールドワーク:ある程度フィールドの候補が絞り込めた段階で、Googleマップなどを用いてストリートビューによる仮想フィールドワークを実施します。航空・地上写真を複数年次で組み合わせ、電子化された地形図と対比するなどして、研究地域の実態を概観します。

これら一連の過程を通して卒論計画書を作成していきます。本演習では受講生を(その多寡にかかわらず)2グループに分け隔週で課題を発表する形ですので、前期の地理学演習Ⅰ・講読演習Ⅰと変わりません。4年生の前期が就活等に費やされるのを鑑みると、3年生の後期で卒論の方向性を固めておくことに合理性はありましょう。

週番号 月 日 テーマ
1 10月7日 顔合わせ:一年後の自分を想像する(先輩との懇談会)
2 10月14日 マインドマッピングで関心を可視化する(1)
3 10月21日 マインドマッピングで関心を可視化する(2)
4 10月28日 地理的写真観察法:街に出て景観の深層を探る(1)
11月5日 卒論合同演習(3年生の出席奨励)
5 11月11日 地理的写真観察法:街に出て景観の深層を探る(2)
6 11月18日 キーワード検索で研究の現状を知る(1)
7 11月25日 キーワード検索で研究の現状を知る(2)
8 12月2日 学術論文の「構成」を読む(1)
9 12月9日 学術論文の「構成」を読む(2)
10 12月16日 Why仮説を建て、フィールドを考える(1)
11 12月23日 Why仮説を建て、フィールドを考える(2)
冬休み中 ぼちぼち卒論のテーマとフィールドを固め始める
12 1月13日 仮想フィールドワーク:Googleストリートビューを用いて(1)
13 1月20日 仮想フィールドワーク:Googleストリートビューを用いて(2)
14 1月27日 卒論計画書(案)の検討
15 2月3日 第一次「卒論計画書」提出
2月x日 卒論・修論発表会(出席してね)
3月x日 卒論合同演習(第二次「卒論計画書」提出)

 

V 関連サイト

マインドマップについては、トニー・ブザンによるものが有名で、わかりやすく説明したサイトがあります。以下などを参照してください。 https://www.mindmap-school.jp/mindmap/what/

ただしツリー型のマインドマップは連想を前提としていますので、独立したかに見える思考が実は関連性を持つという「発見」に欠ける部分があります。そうした発見的な方法としては「KJ法」が有効です。KJ法については以下を参照してください。KJ法の考案者である川喜田二郎先生は本教室で助教授として勤務されていました。 http://www.ritsumei.ac.jp/~yamai/kj.htm

地理的写真観察法は、日本大学文理学部社会学科の後藤範章先生が提唱された「集合的写真観察法」に示唆を得て、私が地理学用にアレンジしたものです。授業の具体的内容は以下をご覧ください。http://www.lit.osaka-cu.ac.jp/user/yamataka/hbs.htm

VI ゼミ合宿

もし、新型コロナの感染が終息に向かうようであれば、学期終了後に提出された「卒論計画書」について集中的に討論し、フィールドで検証するために、ゼミ合宿の実施を考えます。平成28年度は沖縄県沖縄島・与那国島・石垣島、29年度は広島県尾道市・広島市、30年度は兵庫県神戸市・朝来市で実施しました(令和元年度は授業担当なし、令和2年度は未実施)。状況が許すならば、年明けの授業時間の調整についてご相談いたします(地理学講読演習Ⅱで実施する予定のフィールドワークに参加いただいても構いません)。