山崎孝史
2020年度修士論文・卒業論文
修士論文
貫名 隆洋(ぬきな たかひろ)
ベトナム人の定住化と「長田」の変容―マルチスケールの観点から
論文(pdf 3.33MB)学内限定公開
公表論文(空間・社会・地理思想25,14-73,2022年)
まずは修士論文執筆においてアンケート調査にご協力いただきました長田のベトナム人の皆様、ベトナム夢KOBEの皆様、地理学教室の先生方・先輩・同期・後輩、卒業論文の際からご指導いただいた山﨑先生に心よりお礼申し上げます。
卒業論文でも扱った外国人集住を、修士の2年間も対象地域こそ変更したものの、3年以上にわたり継続して研究することができました。この期間に何度も自分がなにを明らかにしようとしているかを見失ってしまいました。そのような時には、月に一度の面談で山﨑先生からアドバイスをしていただいたおかげで迷いながらも最後まで研究を進めることができました。
ただ、方向性が定まらないまま研究課題の設定に時間をかけすぎたこともあり、現地での調査が不十分なものになってしまいました。実際に書きだしたタイミングになって「あれも聞いておけばよかった」や「これも調べておくべきだった」などの足りないものが多数あることに気が付きましたが、時期が遅くどうしようもないまま論文にすることになってしまいました。まだまだ、やれること・やるべきことがあるため、もっと良いものが書けたのではないかと悔しい部分も多いですが、自分の興味関心から外れることなく最後まで執筆できたことに関しては幸せに思います。
私からの一言:なぜこのテーマを選び、何をどう論じたいのかという点について絞り切れなかったという部分はありますが、それを補うために研究対象に沿った理論的、方法論的視角を導入することによって、体系性のある分析・考察ができたと思います。さらに推敲を重ねて雑誌論文として公刊されることを心待ちにしております。
卒業論文
井元 遼太郎(いもと りょうたろう)
子どもの生活時間の変化と放課後児童クラブの役割
卒業論文執筆にあたって調査にご協力いただいた皆様、指導教員の山﨑先生には厚くお礼申し上げます。「私たちが小学生だった頃と今の小学生では、遊びの形が変わっているのではないか?」という些細な疑問から、「子どもの遊び」というテーマを核にして進めてきました。新型コロナウイルス感染症の影響や、子どもを調査対象にする難しさから、思い通りの調査ができたとは言えません。しかしながら、私が長期間関わり続けていた放課後児童クラブについて、多少なりとも地理学的な視点から、その意義を考えることができたことについては嬉しく思います。
今後も子どもと関わっていくことになるため、本論文の執筆により得た知見や経験を活かしていきたいと考えています。
私からの一言:新型コロナの影響による教育実習時期の変更、質問紙から参与観察への調査方法の変更、データアーカイブと統計分析の利用など、イレギュラーなことが続きましたが、考察の枠組みが明確な論文になりました。確かに、子どもの実際の遊び空間の分析にまで進めなかったのは残念ですが、この論文で示された問題意識を失うことなく、教育に従事していただければと思います。
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2019年度修士論文・卒業論文
修士論文
中西 広大(なかにし こうた) ☆令和元年度文学研究科優秀修士論文
大阪市における学校選択制の地理的検証―義務教育と公共選択論との関係から
まずは聞き取り調査にご協力いただいたみなさま、地理学教室の先輩・同期・後輩・先生方、卒論のテーマ決めから3年半にわたりご指導いただいた山﨑先生、そして本稿を執筆するにあたりご支援・ご協力を賜りました全ての方に、深く御礼申し上げます。みなさまのご支援・ご協力を論文という形にできたことがとても嬉しいです。本当にありがとうございました。
約3年半にわたり同じテーマと向き合ってきましたが、これだけの期間ひとつの物事を突き詰めて考えるという経験は初めてでした。しかし、いざ論文を執筆する段階になっても、本当に勉強不足で不十分な点が多いことを痛感しました。卒論執筆時同様、どれだけ準備してもしすぎることはないということ、そして、物事を究める作業には終わりがないということを学びました。力が及ばず議論を突き詰めることができなかった点もあり、悔しい思いがありますが、この経験を今後の人生の糧にしていきたいと思います。
行き詰まり心折れそうになった時には、地理学教室の仲間や先生方の存在がとても大きな支えになりました。自分が悩んだ時に、相談し、議論し、談笑できる仲間や先生方がいたことは、とても幸せなことでした。あらためて感謝するとともに、後輩のみなさまにも、迷ったり悩んだりした時には相談できる人が周りにたくさんいるということをお伝えしたいです。ぜひとも実りの多い、後悔のない大学・研究生活を送ってください。
私からの一言:学部3年生の後期から前期博士課程2年生に至るまで理論的視角(公共選択論)に基づく一貫したテーマ(学校選択制)を追求できたことがこの優れた論文につながったと思います。コメントが少し謙遜しすぎの嫌いがありますが、これからは学校教育の現場でこれまで得られた知見を活かしていって下さい。
卒業論文
市後 恭佳(いちご きょうか)
保育所建設への反対と受容―東京都目黒区、千葉県市川市、兵庫県芦屋市の事例から
まずは卒業論文執筆において聞き取り調査にご協力いただいた皆様、未熟な私に熱心に指導してくださった山崎先生と木村先生に心から感謝申し上げます。
このテーマに決めたきっかけは、東京都港区の南青山で起きた児童相談所建設反対運動に関する報道でした。報道を見ただけでは、南青山という地域に対してマイナスな印象を抱いてしまうことになり、それは良くないのではないかと思いました。ここからヒントを得て、保育所建設反対運動の事例そのものではなく、発生前から発生後まで追って、反対運動が起きた地域のことを正しく理解しようと思い、このテーマに決めました。この論文が当初思い描いていたところまで及んでいるかは分かりませんが、自分の関心に沿って論文を執筆して形にできたことは嬉しく思います。
私からの一言:府外、しかも関東の事例を対象に全国的な視野から反対運動を検討し、問題の一般性を明らかにしようとした意欲的な論文です。これからの新生活では類似の運動を直接目にすることもあるかもしれませんね。
栗田 汐里(くりた しおり)
常盤小学校区における子ども食堂の必要性と役割
子ども食堂をテーマにし参与観察を通して調査するということは早い段階で決まっていたのですが、詰めが甘かったために執筆の最初から最後までずっと方向性に悩んでいました。4年間のその場しのぎの学習が最後になって自分を苦しめることになりました。執筆が進めば進むほど調査の甘さを感じることが多く、早めに論文の構成を考え調査方法を何度も練り直すことが重要なのだと思いました。
このように正直反省点しかないのですが、この卒論執筆は、今までボランティア活動に対して抱いていたイメージを大きく変えるきっかけとなり、少しの勇気があればどんな人でも誰かの役に立てるということを知りました。また、全く知らないコミュニティに飛び込み人間関係を構築することは、難しいものではありましたが間違いなく今後の人生に役立つことになると思います。
最後になりますが、聞き取り調査にご協力いただいた皆様、地理学教室の方々、そしてテーマ設定から執筆までご指導いただいた山崎先生、皆様のお力添え無しには論文を完成させることはできませんでした。本当にありがとうございました。
私からの一言:食を介した子どもの「居場所」が持つ意義を探るという深いテーマだけにアプローチや分析方法の点で難しい点があったと思います。しかし、実際に子ども食堂の活動に関わり、参与観察することから、外からは見えないものが見えましたね。これからもこうした問題について考え続けてもらえればと思います。
村上 ひかる(むらかみ ひかる)
変容する葬儀と死の受容―複数地域における活動団体からの考察
卒業論文を書くにあたって、山崎先生はもちろん聞き取り先の方々に多大なるご協力を賜りました。この場をお借りして厚く御礼申し上げます。本当にありがとうございました。
特に、葬儀という地理学教室では比較的珍しいテーマで最後まで書ききることができたのは、3年生の演習からご指導くださいました山崎先生のこまめな面談、アドバイスがあったからだと感じます。
地理学とテーマをどのようにしてつなげていくか、先行研究の整理や実地調査にとりかかってからわかってきた部分もあり、自分にとって価値のある経験になりました。
私からの一言:共同体的な葬送が合理化・私事化されていく潮流の中で、どのように死の「共同性」が回復されようとしているか。そういうテーマで取り組まれた興味深い論文です。各現地調査の期間は短かったのですが、条件の異なる地域の事例から炙り出された新しい「死の受容」の在り方は大変示唆に富みます。
2018年度卒業論文
佐藤 璃奈(さとう りな)
尾道三部作が創り出す場所へのイメージ―イメージの形成とその影響
卒業論文を書くにあたってサポートしていただいた山崎先生をはじめ、学部の先輩方や仲間にはたくさん助けてもらい、非常に大きな支えとなりました。一人では絶対に完成させることができなかったと、今になってひしひしと感じています。支えてくださった皆様、誠にありがとうございました。
テーマを決めるところから、それを地理学とどう繋げていき、どのように研究を進めていくのか。最初から最後まで頭を悩ませながら進めていました。一体いま自分は何を明らかにするために調査しているのかわからなくなるときもあり、その度に自分の手が止まってしまうことが何度もありました。しかしそんな時、月に一度山崎先生に面談をしていただくことで頭の中を整理することができました。何を考え、何に悩んでいるのかを言葉にして誰かに伝え、整理することが調査を進めていくうえでいかに重要なものかを学ぶことができました。
お世辞にも完成度が高いとは言えないものとなりましたが、4年間の集大成となるものを自分の手で完成させる、というところに大きな意味があったのではないかと思います。執筆にあたって学んだことを、今後の生活においても活かしていけたらと思います。
私からの一言:尾道を実際訪れ、メディア(新聞記事)が創り出すイメージを分析する方法まではうまく固められたのですが、具体的な地域の形成とどう関わっているかを更なる現地調査で明らかするまでの時間がなかった点が残念。
瀧口 都(たきぐち みやこ)
伝統野菜の地域性を維持する取り組みの実態と課題―大阪府なにわの伝統野菜を事例に
私からの一言:ここでは口頭試問前に提出された論文をアップロードしています。種子から伝統野菜の地域性を考えるという興味深い論文ですので、ぜひとも最終版をお届けください。
貫名 隆洋(ぬきな たかひろ)
外国人の地域への定住過程における公営住宅の役割―群馬県伊勢崎市のベトナム難民を事例に
今回、卒業論文を執筆して、次の2点の重要性を感じました。1つ目は、自分の中で何を明らかにするかを明確にすることです。自分の場合、3回生の演習の時から外国人の居住には興味があったものの、いざ卒業論文を書くとなると自分が明らかにしたいことがはっきりと定まりませんでした。そのため、調査対象や聞き取り相手の決定に時間がかかってしまいました。
2つ目は、地理学における現地調査の重要性です。現地で調査することでしか分かってこないことや、つくることのできない人間関係が多くありました。現地に行く時期が遅かったことで、卒業論文の内容が中途半端なものとなってしまいました。調査は可能な限り時間をかけて早い段階から行うべきでした。
最後に、卒業論文を執筆するにあたり、インタビューに協力していただいた皆様や聞き取り調査を快く受けて下さった皆様には、大変お世話になりました。また、卒業論文の構想の段階から実際に執筆する段階まで細かく丁寧にご指導いただいた山崎先生をはじめ、地理学教室の先輩方・同期には、大変感謝しております。
私からの一言:大阪にいながら敢えて伊勢崎というフィールドを選んで、外国人の居住をテーマに取り組まれたこと自体高く評価できます。現地調査を始めるタイミングが遅れると、考察の期間も短かくなるので、テーマの絞り込みが早いともっと深められたと思います。大学院での研究への教訓にしてください。