2015年度博士論文・卒業論文

博士論文

今野 泰三(いまの たいぞう)

ヨルダン川西岸地区におけるイスラエル入植地と民族宗教派入植者に関する考察―死/死者の景観と規範共同体の境界

論文の詳細 論文原文(10.67 MB)

 

卒業論文

藤田 梨花(ふじた りか)

「大阪産(もん)」からみる都市近郊農産物の空間的広がり

論文(pdf 626KB)

 卒業論文のテーマがなかなか絞れずに、テーマ設定だけに一年弱かかりました。 山崎先生にアドバイスをいただいて4回生になってからようやくテーマが決まった状態でした。 そのため、卒業論文のための調査期間、執筆期間ともに十分な時間がとれず、満足のいくまで調査は行えなかったというのが正直な感想です。 聞き取りの数を増やし、仮説を裏付けるだけのデータをもっと収集することができれば、また違う結果も出てきたのではないかと思います。最後になりましたが聞き取りにご協力いただいた方々、そしてアドバイスをしてくださった山崎先生、ご協力、ご指導いただき本当にありがとうございました。取りかかりが遅かった私が卒業論文をここまで完成することができたのは、皆様のご協力があったからだと思います。本当にありがとうございました。

私からの一言:当初から「食」への関心は一貫していましたが、論文のテーマが絞り込めなかった理由は、就活の内定時期のずれ込みや対象地域選定の遅れが影響したと思います。社会に出て物事に遅疑逡巡する時は、失敗を恐れず「えいやっ」と決めてかかってください。

2014年度卒業論文

奥野 寛央(おくの ひろひさ)

闘犬の観光化と衰退―闘う動物へのまなざしの功罪

論文(pdf 618KB)

 テーマ設定を含めるとおよそ1年がかりの作業で頭を悩ませたことも多くありましたが、非常に楽しんで取り組みました。「闘犬」というテーマは早くに決まっていたのですが、テーマ自体が珍しく、先行研究が少ないので、難航が予想され最初は不安が多くありました。しかし、現地の方々や山崎先生をはじめとする地理学教室の先生方、院生や学部生の皆様のご協力で卒業論文を無事に完成させることができました。現地に赴き多くの話を聞いたことや多くの文献を読み卒業論文の方針を考えたこと等の卒業論文執筆の過程は私にとって価値のある経験となりました。協力して頂いた皆様へ心から感謝を申し上げます。ありがとうございました。

私からの一言:地方の習俗を観光化させることが地方に外部のまなざしを持ち込み、習俗の存続が危ぶまれる事態をもたらすというパラドックスをテーマにした興味深い論考で、地方文化史としての価値もある論文となりました。このように問題設定ははっきりしていたのですが、素材をどう表現するかについていろいろ苦労もありましたね。言葉による表現力が試された論文でもありました。

御前 真琴(おんまえ まこと)

富山市八尾町の観光まちづくりにおけるアートプロジェクトとアーテイストの役割

論文(pdf 1.1MB)

 卒業論文執筆にあたり、担当の山崎先生には、三年生の演習にはじまり、卒論提出まで、大変お世話になりました。何も決まっていない状態で担当をしていただき、調査地やテーマの決定から数多くの助言をいただきました。また、八尾町の「坂のまちアート in やつお」の実行委員会の皆様、そして出展アーティストの皆様には、急なお願いが多かったにも関わらず、快く受け入れていただきました。皆様のご協力なくては、卒業論文を書き上げることができませんでした。ひとりで何もわからない場所に滞在し、知らない人々の中に飛び込むという経験は初めてだったので、戸惑うことも困ることも多々ありましたが、今後の糧となる経験になったと思います。最後になりましたが、数多くの助言を下さった山崎先生、快く調査に協力してくださった八尾町の皆様、本当にありがとうございました。

私からの一言:とりあえず行ってみようという感じで調査を始めたわけですが、先行研究を踏まえた理論的枠組みに基づき、しっかりとした論述ができています。せっかくそうやって完成した成果ですので、あなたの経験談や論文を後輩が参照できればと思います。私はお手伝いしただけかもしれませんが、やはり卒論は一人で書けるものではありません。どんな仕事でも同じことが言えるかと思います。

2013年度卒業論文

岩神 幸平(いわがみ こうへい)

エルサレム旧市街における歴史的建造物の保全と住民生活支援

論文(pdf 1.6MB)

 当初、漠然と世界遺産というテーマで卒論を書こうと考えていた僕は、山崎先生からエルサレム旧市街という提案をいただいた時、本当に可能なのかどうか半ば半信半疑で卒論に取り組み始めました。英語文献の講読から現地滞在の計画、インフォーマントの段取り、そして実際の調査に至るまで、山崎先生をはじめ、エルサレムで協力してくださった皆様のおかげで、困難を乗り越える事が出来ました。執筆に関しては反省点が残る部分が多々あり、少し悔いの残るものとなってしまいましたが、海外を対象に現地調査を行い、卒業論文を書きあげたというこの経験は、僕の人生の大きな財産となりました。ありがとうございました。

私からの一言:むりやりこちらからエルサレムに行ってもらおうとしたのですが、立派に調査を敢行されました。内容的にはもっと掘り下げられるテーマではありましたが、テーマ設定の困難性のみならず言葉や治安上の不安の問題も乗り越えた点で大変評価できる論文です。「世界中どこでも卒論を書こうと思えば書ける」という意気込みが後輩に伝わればと思います。

2012年度卒業論文

吉川 絢(よしかわ あや)

創造地区形成への取り組み―沖縄クリエイターズビレッジ事業を事例として

論文(pdf 1.1MB)

 卒業論文執筆にあたり、山崎先生をはじめ調査地におけるインフォーマントの方々には本当に貴重な体験をさせていただきました。とくに現地での調査では、人と人とのつながりの中で生まれる力のようなものが感じられ、つい夢中になって長くお話を聞いてしまうこともありました。しかし調査地に行って聞き取りをさせていただく前、卒業論文を実際に書き始める前など、準備不十分で臨んだ作業や調査が多くありました。そうした不備により有効な調査や執筆ができず、ご協力いただいた各方面の方々にご迷惑をおかけすることとなってしまいました。今後は卒業論文に関する調査や取り組みでの反省を活かし、計画的な物事の進め方をしていきたいです。

私からの一言:コザという「基地の街」の再生について、ズーキンの「創造地区」という概念を用いて考察し、一週間という短い期間でしたが現地に入って丁寧に聞き取りをした成果です。私のフィールドでもあるので、色々サポートできたのですが、役に立ったかな。

2011年度卒業論文

西岡 美樹(にしおか みき) ☆平成23年度文学部優秀卒業論文

「共生」の真実 外国人集住地域における地域の変容―東京都新宿区・大久保地域を事例に

論文(pdf 1.0MB)

 私は卒論のテーマとして「外国人の集住」について扱えたらいいな、と漠然と考えていた所、山崎先生に大久保地域にフィールドワークに連れていっていただいたのがきっかけで対象地域はすんなりと決めることができました。しかし、その地域でどのようなテーマを扱うかを決めることに苦労し、それも先生に方向性を示していただきました。扱ったテーマが決してポジティブなものではなく、また土地勘のない地域での調査は心折れそうなときもありましたがインフォーマントの方の暖かさ、先生の指導、地理学コースの皆さんに支えられて執筆することができました。本当にありがとうございました。

私からの一言:地理学コースからは久しぶりの優秀論文賞受賞論文です。大久保は長年「多文化共生」の先進地として注目されてきましたが、近年は「韓流の聖地」といった形での場所の形成(商品化・メディア化)が進んでいます。その一方で旧来からの日本人商店の経営は圧迫され、排除されていきます。こうしたエスニック・タウン化を冷静に捉えた論考になりましたね。遠方のフィールド調査に取り組んだ秀作です。

本多 あずさ(ほんだ あずさ)

在日ベトナム人の移住から見た定住―神戸市長田区を事例として

論文(pdf 505KB)

 卒論に取りかかった時期は遅くなってしまいましたが、月1回の指導会のおかげでモチベーションを保つことができました。ベトナム人の方への聞き取り調査では、言葉の点で対象が狭まってしまい、また調査人数も十分でなかったのが悔やまれます。協力者探しでもインフォーマントの人脈に頼った部分が大きいので、自分で移動した人を探すくらいの行動をすれば、「移動」の側を主に持ってこれただろうと思います。一人で飛び込んでいく度胸を身につけることが今後の課題です。しかし、1人に対して2回の聞き取りを行ったことで、2回目には新しい話を引き出せたという経験をしました。聞き取り調査では相手方との関係性が大事だと感じた、印象に残るできごとでした。

私からの一言:公務員志望の卒論生は採用まで時間がかかり、卒論への取り組みが遅れがちです。そういうこともあって、フィールドやインフォーマントへの接触は割と早くからできていましたね。ただ、インフォーマントがそもそも定住者であり、別の地域との比較研究が十分できなかったという点で、本来の関心に沿って論文を書くことが難しかったのかと思います。しかし、論述は筋道立っており、考察も明確で、論文としての完成度は高かったです。東京の区役所で同様の問題にも取り組まれる機会があるかもしれませんね。

山本 達也(やまもと たつや)

町家店舗を活用したまちづくり―京都市中京区を事例として

論文(pdf 2.3MB)

 おおまかな構想としては、三回生のころから教員の方々にご指導いただけた事もあって、四回生になった時には、ほぼ固まっていました。しかし、構想が固まってからの動き出しが非常に遅く、結局完成したのは提出直前となってしまいました。また、山崎先生からの熱い指導のおかげで、奮起した部分もあったように思います。
 内容に関しては、当初に予想していた結論とは違うものになりましたが、京都の町家店舗の実態に、より即したものになったと感じています。
 今回の卒業論文を執筆するにあたって、お世話になった教授方、インフォーマントの方々には大変ご迷惑もかけたと思っています。ありがとうございました。

私からの一言:指導教員の仕事は尻たたきです。放っておくとぎりぎりまで動こうとしない学生さんのペースメーカーなのです。しかしテーマは現代京都の中心市街地における町屋利用をめぐる重要な課題であり、問題点を的確に把握できた論文に仕上がっています。よって、査読教員の評価も良かったです。今後は京都でのご活躍をお祈りしています。

2010年度卒業論文

中山 和哉(なかやま かずや)

伊丹空港に対する周辺団体の態度

論文(pdf 2.1MB)

 私は就職活動が4月中に終わったので、余裕を持って11月から12月の間に完成させようと考えておりました。しかし私としては4月以降少しずつ取り組んでいたつもりだったのですが、なかなか具体的な構想が定まらず結局完成は提出期限間際となってしまいました。一番の原因は、最終的に書くべきことは先生が決めてくれるだろうと甘い考えを持っていたことです。しかし卒業論文はこれまでの大学での授業と全く異なり、自分で考えて進めていかなければならないものでした。ただ私の場合、構想はどうであれテーマは絶対に“空港”と決め込んでいたので、余計なことを考えずに取り組めた点は良かったです。そのような中で山崎先生には上手く方向性を暗示して頂いたと思います。またインフォーマントの方々にも大変お世話になりました。本当にありがとうございました。

私からの一言:伊丹空港問題には周辺地域の様々なアクターが関わっており、それらを全てカバーすることは困難であったかと思いますが、良くまとめられた論文です。なお、卒論指導とは最終的に書くべきことを教員が決めることではございません。関空でのご活躍お祈りします。

山田 恭平(やまだ きょうへい)

場所の記憶に関する住民意識―沖縄県沖縄市(旧コザ市)の元Aサイン店を事例にして

論文(pdf 354KB)

私からの一言:復帰前の「Aサイン」をめぐるコザの人々の思いを明らかにしようとした論文です。就活がなかなか終わらなかったことが影響しましたが、時間があればきっと面白い論文になったと思います。いつか感想もお届けいただきたいです。