2016年度卒業論文

池田 朱里(いけだ あかり)

祭礼の継承と地域コミュニティのつながりの強化―流し節正調河内音頭を事例に

論文(pdf 490KB)

 この卒業論文を作成するにあたっては、流し節正調河内音頭保存会のみなさまに多大なるご協力をいただきました。練習のない日にも関わらず、お忙しい時期にお集まりいただき誠にありがとうございました。また、テーマ決めの段階から執筆に至るまで、山﨑孝史教授には大変お世話になりました。取りかかりが遅かったために、うまく執筆できずに悔しい点も残ってしまいましたが、無事この論文を完成させることができたのは、お世話になったすべてのみなさまのおかげです。この場をお借りして、心より御礼申し上げます。

私からの一言:野外調査のリハーサルとして選んだ八尾市の事例がそのまま卒論の対象になったので、対象になった保存会についてしっかり書けています。ただ、他の組織まで対象を広げるのは時間的に難しかったですね。

服部 楓(はっとり かえで)

地理的犯罪データ分析の防犯活動への活用可能性

論文(pdf 1MB)

 3年生の演習時から、犯罪に関する卒業論文を書きたいという漠然としたこだわりがありました。しかし、外国や日本の先行研究分析を行ううちに、卒業論文で扱うことのできるデータに限りがあることを知りました。また、実際に調査地を大阪府八尾市に設定し、調査を開始してからも、聞き取り調査などは積極的に行ったため、質的データは一定得ることができましたが、客観的に判断できる犯罪の量的データの取得に困難を感じました。安まちアーカイブデータを入手してからは、データを用いた分析手法について試行錯誤を行う期間が長く、一歩先の調査まですることが出来なかったことが心残りです。しかし、自分がかねてより関心のあったテーマはぶらさず、八尾市役所の人とも協力して研究することができたため、とてもいい経験になりました。山崎先生には面談を沢山設定して頂き、その度に適切なアドバイスを頂いたことを感謝致します。ありがとうございました。

私からの一言:犯罪分析にはデータによる客観的な検証が必要なのですが、入手が遅れてしまったのがちょっと残念でした。しかし一年以上卒論のテーマの方向性を変えることなく、終始たゆまず課題に取り組まれた姿勢には大変感心しました。就職先の保険会社でも卒論の知見を活かして下さい。

桝屋 知基(ますや ともき)

地域ブランドにおける地名選択と生産過程における空間スケール

論文(pdf 686KB)

 卒業論文執筆にあたり、一番困難かつ重要なのはテーマ設定の作業であると感じております。私の場合、最終的なテーマが決まったのは12月に入ってからでした。そこから新しく必要なデータを集め出すのは時間的に困難で、以前から収集していた資料やデータを用いて執筆しました。テーマについて、もっと早く、そしてもっと深いものを設定できていれば、より多く、詳細なデータを収集することができ、執筆や考察の作業もスムーズにいくと考えられます。また、執筆にあたり、担当教授の山崎先生には大変お世話になりました。この場を借りて、厚くお礼申し上げます。

私からの一言:卒論のテーマ設定に時間がかかり、思うように論文を書けなかったという感想をいただくことが多々あります。今回は、自分の関心にこだわられていたので、ぎりぎりまで尊重するスタンスでおりました。最終的に、地域ブランドと地名のスケールという興味深いテーマに落ち着きました。悩まれた分だけストーリー性のある論文になったと思います。

2017年度前期開講にあたって

2017年前期授業に関するページを更新しました。関連する授業は「地理学概論I」、「地理学演習I」、「地理学講読演習I」、「大学院地理学基礎問題研究演習」です。大学院科目については受講生と調整の上、演習の構成を決めることにしますので、今しばらくシラバスの公開はお待ちください。

Barrie Shelton先生講演会 Space, Scripts and Cities: Finding Hidden Order

2016年度第2回地理学教室コロキウム、第6回インターナショナルスクール日常化プログラム

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講師: バリー・シェルトン先生(Prof. Barrie Shelton)
題目: Space, Scripts and Cities: Finding Hidden Order
使用言語: 英語(日本語通訳あり)   
日時: 2017年1月13日(金) 14:30–17:30
会場: 大阪市立大学 高原記念館北館 研究交流スペース
主催: 大阪市立大学地理学教室 
共催: 大阪市立大学大学院文学研究科インターナショナルスクール
協力: 大阪市立大学都市研究プラザ
財源: JSPS科研費「グローバル化の新局面における政治空間の変容と新しいガバナンスへの展望」(15H03277、研究代表者:山﨑孝史)、大阪市立大学大学院文学研究科インターナショナルスクール

講演概要: シェルトン先生著Learning from the Japanese City: West meets East in Urban Design, Routledge, 2012(片山篤訳『日本の都市から学ぶこと―西洋から見た日本の都市デザイン』鹿島出版会、2014年)の第2章Areas and Lines: From Written to City Textsと第6章Superblock Synthesis:‘Glorious Gokiso’ を中心に、西洋との対比から、日本の建築・土地利用・都市計画の文化的特徴を解き明かし、日本の近代都市計画上にみられる街路と都市的建造環境の形態的特徴から街区内の生活・文化実践の可能性を探ります。

講演会後は梅田中崎町のミニ巡検も予定しています。講演内容を踏まえて、大阪市北区における戦前からの都市計画の展開と中崎町の歴史的変遷を把握し、「レトロ」と評される今日的な街区の利用形態について考察を深めたいと思います。

また巡検後に懇親会も企画しております。講演会含めどなたでも参加できます。

連絡先: 山﨑孝史 yamataka[at]lit.osaka-cu.ac.jp (送信時は[at]を@に変えて下さい)

コザ暴動プロジェクト in 大阪 「都市と暴動」

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開催趣旨

「コザ暴動プロジェクト」は、いtoyomitsuわゆる「コザ暴動」を写した写真展を中心に、映画・ビデオ上映・シンポジウムなどの関連企画を展開する活動として2015年12月に沖縄市(コザ)で始まった。今回の大阪での開催は、2016年4月に明治大学で開催された「コザ暴動プロジェクトin東京」に続く、本土で2回目の企画である。

「コザ暴動」は、まだ沖縄が米軍統治下にあった1970年12月20日未明、嘉手納基地前のコザ市で発生した。そのきっかけは米兵が起こした交通事故であった。当時、米兵による凶悪事件や性暴力は頻発しており、容疑者は罪に問われないことすらあった。こうした不条理に対する住民の怒りはうっ積しており、この夜ついに暴動という形で爆発した。群衆は事故現場周辺に駐車されていたMPや米人の車両を次々と横転させ、それに放火した。数千人の群衆は路上を二手に分かれ、放火・投石しながら、米軍および琉球警察と対峙した。

「コザ暴動プロジェクト」はこうした民衆の行動をあえて「暴動」と呼ぶ。それは怒れる民衆を「暴徒」とみなす危うさをはらんでいるが、異民族支配に忍従してきた沖縄の人々が「暴動」によって表現せざるを得なかった怒りの意味を、今の沖縄と日本で改めて問い直す必要がなかろうか。本企画の写真展とギャラリートークは、コザ暴動の「現場写真」の迫力とそれを撮影した写真家の肉声を通して、怒れる民衆の姿を大阪で再現する。

しかし、こうした「暴動」は沖縄でのみ起こったわけではない。本企画が開催される大阪では西成区の釜ヶ崎において日雇い労働者によって戦後24回もの「暴動」が発生している。戦前に目をやれば、首都東京でも1905年に日露戦争後の講和条約に反対する集会が大規模な「暴動」へと展開した「日比谷焼打ち事件」がある。本企画は「都市と暴動」をテーマとするシンポジウムにおいて、これら三都市で発生した「暴動」の歴史・地理的背景、展開過程、参加者属性、社会的意義を比較検討しつつ、なぜ都市は「暴動」を生み出し、なぜそれは今も語り継がれるべき出来事たりうるのかを考える。

なお、本企画の全てのイベントは一般に公開され、参加費は無料である。

開催内容

主催: 「都市と暴動」シンポジウム実行委員会(代表:山﨑孝史)
共催: コザ暴動プロジェクト実行委員会(代表:國吉和夫)、人文地理学会政治地理研究部会(代表:北川眞也)
協力: 大阪市立大学地理学教室、大阪市立大学都市研究プラザ、CR-ASSIST地域・研究アシスト事務所
後援: 琉球新報、沖縄タイムス、沖縄市、朝日新聞社
財源: JSPS科研費「軍事的圧力に抗う文化的実践―沖縄とパレスチナにおける地誌編纂と景観修復」(15K12954)、同「グローバル化の新局面における政治空間の変容と新しいガバナンスへの展望」(15H03277)(いずれも研究代表者:山﨑孝史)

チラシ(実物はA4判)・ポスター(B2判)は写真をクリックして下さい。

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「コザ暴動」写真展

期日: 2016年12月16日(金)~18日(日)
時間: 午前10:00~午後6:00(入場無料、16日は午後7時まで開場延長します)
場所: 大阪市立大学都市研究プラザ 船場アートカフェ(辰野ひらのまちギャラリー)
 〒541-0046 大阪府大阪市中央区平野町1丁目5-7 辰野平野町ビル地下1階
 http://art-cafe.ur-plaza.osaka-cu.ac.jp/
出展写真家: 大城弘明、國吉和夫、平良孝七、比嘉豊光、比嘉康雄、松村久美、山城博明、吉岡 攻
関連展示品(沖縄市提供): 黄ナンバープレート、「騒乱罪粉砕市民集会」のチラシ、沖縄タイムス「コザ暴動」号外、「12・20反米騒動で弁務官に抗議」コザ市職労速報、琉球新報「コザ反米騒動 政治問題に発展」紙面、「被害を受けた車両・建物」の図

フィールドワーク「西成(釜ヶ崎)暴動を歩く」

期日: 2016年12月17日(土)
時間: 午後2:00~4:00
場所: 大阪市立大学都市研究プラザ 西成プラザ
 〒557-0002 大阪市西成区太子1-4-3 太子中央ビル3F
 http://www.ur-plaza.osaka-cu.ac.jp/satellite-office/fieldplazas/nishinari/
案内者: 山田實(NPO釜ヶ崎支援機構理事長)、水野阿修羅(釜ヶ崎地域史研究家)
内容: 戦後24回発生した西成(釜ヶ崎)暴動に関する現場レクチャーと釜ヶ崎フィールドワーク
申し込み: 参加者上限は30名程度。希望者が多い場合は抽選します。12月10日(必着)までに下記連絡先に電子メールか(電話返信先を記した)葉書でお申し込みください。落選者には12日までに連絡します。申し込みは締め切りました。
連絡先: 山﨑孝史
 yamataka[at]lit.osaka-cu.ac.jp ([at]は@に変えて下さい)
 〒558-8585 大阪市住吉区杉本3-3-138 大阪市立大学大学院文学研究科

シンポジウム(人文地理学会政治地理研究部会第20回研究会)

期日: 2016年12月18日(日)
時間: 午後1:30~6:00
場所: 大阪市立大学都市研究プラザ 船場アートカフェ (辰野ひらのまちギャラリー)
 〒541-0046 大阪府大阪市中央区平野町1丁目5-7 辰野平野町ビル地下1階
 http://art-cafe.ur-plaza.osaka-cu.ac.jp/

第1部 シンポジウム「都市と暴動―都市はいかに暴動を生み出したか」

パネラー
山田實(NPO釜ヶ崎支援機構理事長)「転換点としての90年西成(釜ヶ崎)暴動」
藤野裕子(東京女子大学准教授)「戦前東京の暴動と労働者文化」
山崎孝史(大阪市立大学教授、進行役)「基地の街コザと暴動を語る論理」

第2部 「コザ暴動」ギャラリートーク

パネラー
國吉和夫(写真家、元琉球新報記者)
小橋川共男(写真家)
比嘉豊光(写真家、雑誌編集者)
松村久美(写真家)
古堅宗光(元NPOコザまち社中幹事)
恩河 尚(沖縄国際大学非常勤、コメンテーター)
今 郁義(コザ暴動プロジェクト実行委員会、進行役)

「都市と暴動」シンポジウム実行委員会

委員長 山崎孝史(大阪市立大学教授)
副委員長 國吉和夫(コザ暴動プロジェクト実行委員会代表)
副委員長 北川眞也(三重大学准教授、人文地理学会政治地理研究部会代表世話人)
委員 今 郁義(コザ暴動プロジェクト実行委員会)
委員 秋友一司(ギャラリー・ラファイエット
委員 今野泰三(大阪市立大学都市文化研究センター特別研究員)
展示協力 伊敷勝美(沖縄市役所)
支援スタッフ 青陰麻那(大阪市立大学学生)
支援スタッフ 大谷直樹(大阪市立大学学生)
支援スタッフ 鈴木まゆ(大阪市立大学学生)
支援スタッフ 千原佐和(大阪市立大学学生)
支援スタッフ 中西広大(大阪市立大学学生)