大学院(オープン):地理学基礎問題研究・同演習 2019(後期)

境界と領域―その現実とイデオロギー
Borders and territories: their realities and ideologies

教室と時間: 文学部増築棟L363号室
毎週火曜日、午後1時20分から4時55分

担当: 山崎孝史(やまざきたかし)
連絡先: yamataka[at]lit.osaka-cu.ac.jp
担当者ホームページ: http://polgeog.jp/

I 担当教員のプロフィール

1961年京都市生まれ。2004年コロラド大学大学院博士課程修了(Ph.D.)。専門は政治地理学、特に地域社会軍事化、地政学、社会運動、アイデンティティ・ポリティクス。調査フィールドは沖縄。沖縄の基地所在市町村の変容、日米安全保障関係の変化と社会運動や投票行動との関わりを研究中。特技は合気道(四段)。

II 科目の主題

この科目は地理学という学問がどのような課題と方法を持つのかについて、19世紀初頭における近代地理学成立以来の発展過程を振り返りながら、考察することを目的とする。とりわけ1950年代以降の英語圏の地理学における諸スクールの研究分野と基本概念について詳細に検討します。なお、本演習は学部生でも受講可能です。

III 達成目標

今年度は政治地理学における境界・領域研究の入門編として、理論的、概念的、実証的に境界(ボーダー)と領域(テリトリー)をどのように考察・分析すべきかをテーマとします。特に境界や領域の物理的、機能的性格にとどまらず、その構築性、象徴性、イデオロギー性についても思考を拡げ、さらには境界・領土紛争への解決策についても考えます。

IV 授業内容・授業計画

文献の精読と議論を中心に進めます。

週番号 月日 テーマ 課題文献(予定)
1  1月7日  境界研究入門1 『境界から世界を見る』1~3章
2  1月14日  境界研究入門2 『境界から世界を見る』4~6章
3  1月21日  境界と領域1 『政治・空間・場所』6章、山﨑2016
4  1月28日  境界と領域2   The territorial trap (Agnew 1994)
5  2月4日  境界・領土紛争1 『領土という病』1・2章
6  2月x日(補講)  境界・領土紛争2 『領土という病』3~5章

V 評価方法

  1.  出席・参加:毎週の演習では教員・受講生間で課題文献の内容について討議します。必ず出席し、積極的に討議に参加してください。出席数が2/3以上の受講生を評価対象とします。(評価配分20%)
  2. リーディング・レポート:各週の授業日の前日午後5時までに、その週の課題文献について要約、論評、および疑問点を提示した1200字程度のショート・レポートを電子メールで政治地理ML(polgeog2010[at]lit.osaka-cu.ac.jp)あてに送付してください。(評価配分80%)
  3. 評価:評点が全体の60%以上の受講生を合格とします。

VI 教材・参考文献

本演習のテキストとして以下を用いますので、購入・入手しておいて下さい。論文はリンクからダウンロードできます。
・アレクサンダー・C.ディーナー、ジョシュア・ヘーガン(川久保文紀訳)(2015)『境界から世界を見る―ボーダースタディーズ入門』岩波書店
・山﨑孝史(2013)『政治・空間・場所―「政治の地理学」にむけて』ナカニシヤ出版
山﨑孝史(2016)「境界、領域、「領土の罠」―概念の理解のために」地理61-6,pp. 88-96、2016年
Agnew, J. 1994. The territorial trap: the geographical assumptions of international relations theory. Review of International Political Economy 1-1, pp. 53-80.
・岩下明裕編著(2014)『領土という病―国境ナショナリズムへの処方箋』北海道大学出版会

VII その他

演習の課題ほかについて相談したいことがある場合は、遠慮なく山崎までご連絡ください。

【京都大学集中講義】地理学(特殊講義)2018後期

政治地理学入門―実証編
Geography (Special Lectures)
Introduction to Political Geography: Its Methodologies and Applications

教室と時間
京都大学大学院文学研究科・文学部
2019年1月12~13日、26~27日

担当:山崎孝史(やまざきたかし、大阪市立大学文学研究院教授)
連絡先: yamataka[at]lit.osaka-cu.ac.jp
担当者ホームページ: http://polgeog.jp/
講義ホームページ: http://polgeog.jp/archives/2085

I 担当教員のプロフィール

1961年京都市生まれ。2004年コロラド大学大学院博士課程修了(Ph.D.)。専門は政治地理学、特に地域社会軍事化、地政学、社会運動、アイデンティティ・ポリティクス。調査フィールドは沖縄。沖縄の基地所在市町村の変容、日米安全保障関係の変化と社会運動や投票行動との関わりを研究中。特技は合気道(四段)。

II 授業の概要・目的

本講義は、現代社会の諸問題に対し地理学的に接近する一つの視角として「政治」という側面について考えます。政治事象を扱う地理学の分野は「政治地理学」と呼ばれますが、諸外国とは異なり、日本ではさほど盛んではなく、研究者も限られています。本講義は前期の「政治地理学入門―理論編」に続く「実証編」として、前期で扱った政治地理学の理論と概念をどのように実証研究に適用できるかについて講述します。講義では、身近な出来事から国際関係に至るまで、多様なスケールにおいて発生する国内外の政治事象を具体的に分析した研究を紹介します。その中でも教員が取り組む沖縄の米軍基地問題についての研究は、政治問題・紛争といった課題に地理学者がどう実践的に関わりうるかについて示唆を与えるものとなるでしょう。

III 到達目標

本講義は、前期の「理論編」で培われた理論的・概念的理解をもとに、分析方法論の検討を通して、具体的な事例への適用方法を習得します。同時に自ら理論・概念適用が可能と考えられる事例を想定し、その適用の適否を受講生相互で確認し合うことにより、より厳密な実証研究への考察の組み立て方を学びます。その成果は講義終了後の期末レポート作成に反映されます。

IV 授業内容・授業計画

本講義は4日15回からなります。第1日は「「地政学」の現在」を主題に、現在大衆的な注目を浴びている古典地政学の思考について具体的な論考をもとに批判的に検討します。第2日は「領域と集合意識」と題し、空間が領域化されることによって人間の集合意識にどのような作用を及ぼすかを、具体的事例から考察します。第3日は「地政学のローカライズ」として、国際関係や世界政治を対象とする地政学(特に批判地政学)のアプローチをローカルなスケールの事例に適用する視角について後述します。第4日は復帰前の沖縄県の事例を中心に「米軍基地と地域社会」というテーマで、地域社会軍事化の実態分析とそうした研究の実践的活用の可能性について議論します。各講義日の最後にはテキストの章や課題文献と講義内容に沿って、受講生による討論の時間を設け、講義内容の理解を深めます。

講義日とテーマ テーマ(予習課題) スライド
第1日(1月12日)「地政学」の現在
第1回 京都大学地理学教室と地政学(課題1 PDF
第2回 哲学京都学派と東亜共栄圏(課題2 PDF
第3回 「海洋国家日本」の批判地政学(課題3 PDF
第2日(1月13日)領域と集合意識
第4回 「人間の領域性」再考(課題4 PDF
第5回 グローバル化とナショナリズム(課題5 PDF
第6回  中心―周辺関係と沖縄政党の編成(課題6 PDF
第7回 討論  
第3日(1月26日)地政学のローカライズ
第8回  地政学を言説としてとらえる(課題8 PDF
第9回 領域と社会運動(課題9 PDF
第10回 辺境の保守化(課題10 PDF
第11回 討論  
第4日(1月27日)米軍基地と地域社会
第12回 売春・性病管理のポリティクス(課題12 PDF
第13回  米軍統治下の市政運営(課題13 PDF
第14回 二つの反米「騒動」(課題14 PDF
第15回 討論とレポート執筆ガイダンス 執筆要領(参考)
第5日(2月3日) 期末レポート提出(教員あて午後5時まで)

以下、各講義日のリンクをクリックすればその日の課題と講義スライド(PDFファイル)をダウンロードすることができます。

V 評価方法

(1) 出席
各日の講義には必ず出席して下さい。出席数が3日以上の受講生を評価対象とします。欠席の場合はその他の評価得点から減点する措置をとりますが、病欠などの場合は診断書のコピー等の提出があれば減点しません。

(2) 各日のレポート(評価配分50%)
予習として各日講義前に本ページに沿って、各回の「課題」に取り組み、①課題への短い回答、疑問点、討論したい点などをワ―プロで文章化して講義に持参し、講義時に②①および講義や討論の内容を反映させた所感を書き込み、講義後に提出してください。書式はA4判を縦に用い、横書き(両面使用可)で1日(3回分)1枚以内とします。特定の章やテーマに論点が偏っても構いません。発言した内容があればその旨記してください。加点の要素になります。

書式は、用紙の左上にワープロで以下のように記入してください。A4判の用紙表の半分程度に①をワープロで記入したものに、講義中に残りの部分に手書きで②を記入して、講義後に提出してください。分量は目安ですので、講義日当日の記述が用紙の裏にまたがっても構いません。

   講義日:
   学籍番号:            氏名:

(3) 最終レポート(評価配分50%) 
執筆要領で示された書式・字数に沿って、講義中に解説した特定のテーマないし事例を選び、引用されていない関連文献を複数用いて、講義内容をさらに展開する構成のレポートを書いて下さい。テーマや事例のどの部分をどのように「展開」したか、それが明確に読み取れるように執筆してください。第15回の授業でレポートの書き方について改めて説明します。2月3日(日)午後5時までに教員まで電子メールの添付ファイルで提出してください。3日以上受講した人が最終レポートの評価対象となります。

(4) 講義ノート
講義はパワーポイントを用いて行い、板書は行いません。基本的にテキストに沿って進め、多数の画像を用いますので、必要な事項のみノートに書き取ってください。講義スライドの縮小版(PDFファイル)は上記リンクからダウンロードできます。なお、実際の講義が講義スライドの内容と異なる場合がありますので、ご了承ください。

(5) 評価
大学の規定に基づき評点が全体の60%以上の受講生を合格とします。

(6) 不正行為
課題等の不正提出や不正作成(盗作)、そのほか不正行為が認められた場合は、その時点で厳正な処置を行い、所属学部に報告します。遅刻・早退・講義中の私語など、講義妨害についても同様の処置を行います。

VI 教材・参考文献

本講義の教科書は山﨑孝史(2013)『政治・空間・場所―「政治の地理学」にむけて[改訂版]』(ナカニシヤ出版)です(旧版ではありませんのでご注意ください)。大学図書館やインターネットなどで入手可能ですので借用・購入しておいてください。

VII コミュニケーション

講義中の質問などは、講義中でも各回講義の後でも山崎までお知らせください。また、電子メールによる個別の質問・相談も受け付けます。

地理学演習II 2018(後期)

自己の関心の構造を知り、研究課題を練り上げる

時間と教室:
木曜日4限(14:45-16:15)
学術情報総合センター5階ラーニングコモンズ、1階「野のはなハウス」(地図参照)

担当教員:山崎孝史(やまざきたかし)
研究室:文学部棟358号室
電話:06-6605-2407
Eメール:yamataka[at]lit.osaka-cu.ac.jp
オフィスアワー:事前連絡があれば随時面談可能です。

I 担当教員のプロフィール

1961年京都市生まれ。専門は政治地理学、特に地政学、社会運動、アイデンティティ・ポリティクス。調査フィールドは沖縄。日米安全保障関係の変化と沖縄の社会運動や投票行動との関わりを研究中。特技は合気道(4段)。

II 演習概要

本演習はこれまでの専門科目の受講ならびに地理学演習Iを展開させる形で、自己の関心の構造を知り、取り組むべき課題を設定し、具体的な調査地と調査方法をイメージしながら、卒論計画書を作成します。本演習の集大成は年明けに予定されている第一回の卒論合同演習であり、今年度末の卒論・修論発表会への出席も義務付けられます。

III 演習の構成と評価

(1) 出席と参加 毎週の講義には必ず出席し、討論には積極的に参加して下さい。卒論・修論発表会への出席も義務付けられます。出席数が2/3以上の受講生を評価対象とします。欠席の場合は減点しますが、病欠などの場合は診断書や治療費領収書のコピー等を提出すれば減点しません。

(2) 課題プレゼンテーション 卒論計画書の作成に向けて、授業期間中数回の発表が義務付けられます。そのうち1回は卒論合同演習です。いずれも与えられた課題についてレジュメやパワーポイントを作成し、20分程度の発表を行います。(評価配分60点)

(3) 卒論計画書 卒論合同演習で使用する具体性のある卒論計画を作成します。(評価配分40点)

(4) 総得点60点以上を合格としますが、卒論計画書の提出がない場合は合格できません。

IV 演習内容

卒論のテーマの絞り込みは必ずしも容易ではありません。本演習ではお互いの研究関心について語り合い、評価しあって相互に刺激しあいながら各自のテーマを考えていきます。ある程度テーマが現れたら先行研究などを参考にしながら、具体的なフィールドをイメージし、研究方法について考えます。そして各自のフィールドと研究方法がある程度具体化した段階で、ゼミ合宿で発表・討議します。これら一連の過程を通して卒論計画書を作成していきます。質問は遠慮なく山崎まで。

 

週番号 月 日 テーマ
1 10月4日 イントロダクション:自己の指向と思考をさぐる
2 10月11日 マインドマッピングで頭の中を可視化する(1)
3 10月18日(予定) 4年生の経験から一年後の自分を想像する(兼卒論演習)
4 10月25日 マインドマッピングで頭の中を可視化する(2)
5 10月26日(金) 4年生卒論合同演習(一部でも必ず参加すること)
6 11月8日 キーワード検索で研究の現状を知る(1)
7 11月15日 キーワード検索で研究の現状を知る(2)
8 11月22日 学術論文の「構成」を読む(1)
9 11月29日 学術論文の「構成」を読む(2)
10 12月6日 Why仮説を建て、フィールドを考える(1)
12月13日 休講
11 12月20日 Why仮説を建て、フィールドを考える(2)
冬休み中 ぼちぼち卒論のテーマとフィールドを固め始める
12 1月17日 フィールドの成果発表と「卒論計画書」作成
1月31日 「卒論計画書」案提出締め切り(成績評定)
2月x日 第一次「卒論計画書」発表のためのゼミ合宿
13 2月16日 卒論・修論発表会(出席すること)
14 3月8日 卒論合同演習(第二次「卒論計画書」提出)

 

 

V 関連サイト

マインドマップについては、トニー・ブザンによるものが有名で、わかりやすく説明したサイトがあります。以下などを参照してください。 http://mindmap.ainest.com/howto.html

ただしツリー型のマインドマップは連想を前提としていますので、独立したかに見える思考が実は関連性を持つという「発見」に欠ける部分があります。そうした発見的な方法としては「KJ法」が有効です。KJ法については以下を参照してください。KJ法の考案者である川喜田二郎先生は本教室で助教授として勤務されていました。 http://www.ritsumei.ac.jp/~yamai/kj.htm

VI ゼミ合宿

学期終了後に提出された「卒論計画書」について集中的に討論し、フィールドで検証するために、ゼミ合宿を企画します。平成28年度は沖縄県沖縄島・与那国島・石垣島、29年度は広島県尾道市・広島市で実施しました。詳しい準備と旅程については演習中にお知らせしていきます。