2019年度修士論文・卒業論文

修士論文

中西 広大(なかにし こうた) ☆令和1年度文学研究科優秀修士論文

大阪市における学校選択制の地理的検証―義務教育と公共選択論との関係から 論文(pdf 2.7MB)

 まずは聞き取り調査にご協力いただいたみなさま、地理学教室の先輩・同期・後輩・先生方、卒論のテーマ決めから3年半にわたりご指導いただいた山﨑先生、そして本稿を執筆するにあたりご支援・ご協力を賜りました全ての方に、深く御礼申し上げます。みなさまのご支援・ご協力を論文という形にできたことがとても嬉しいです。本当にありがとうございました。
 約3年半にわたり同じテーマと向き合ってきましたが、これだけの期間ひとつの物事を突き詰めて考えるという経験は初めてでした。しかし、いざ論文を執筆する段階になっても、本当に勉強不足で不十分な点が多いことを痛感しました。卒論執筆時同様、どれだけ準備してもしすぎることはないということ、そして、物事を究める作業には終わりがないということを学びました。力が及ばず議論を突き詰めることができなかった点もあり、悔しい思いがありますが、この経験を今後の人生の糧にしていきたいと思います。
 行き詰まり心折れそうになった時には、地理学教室の仲間や先生方の存在がとても大きな支えになりました。自分が悩んだ時に、相談し、議論し、談笑できる仲間や先生方がいたことは、とても幸せなことでした。あらためて感謝するとともに、後輩のみなさまにも、迷ったり悩んだりした時には相談できる人が周りにたくさんいるということをお伝えしたいです。ぜひとも実りの多い、後悔のない大学・研究生活を送ってください。

私からの一言:学部3年生の後期から前期博士課程2年生に至るまで理論的視角(公共選択論)に基づく一貫したテーマ(学校選択制)を追求できたことがこの優れた論文につながったと思います。コメントが少し謙遜しすぎの嫌いがありますが、これからは学校教育の現場でこれまで得られた知見を活かしていって下さい。

卒業論文

市後 恭佳(いちご きょうか)

保育所建設への反対と受容―東京都目黒区、千葉県市川市、兵庫県芦屋市の事例から 論文(pdf 1.9MB)

 まずは卒業論文執筆において聞き取り調査にご協力いただいた皆様、未熟な私に熱心に指導してくださった山崎先生と木村先生に心から感謝申し上げます。
 このテーマに決めたきっかけは、東京都港区の南青山で起きた児童相談所建設反対運動に関する報道でした。報道を見ただけでは、南青山という地域に対してマイナスな印象を抱いてしまうことになり、それは良くないのではないかと思いました。ここからヒントを得て、保育所建設反対運動の事例そのものではなく、発生前から発生後まで追って、反対運動が起きた地域のことを正しく理解しようと思い、このテーマに決めました。この論文が当初思い描いていたところまで及んでいるかは分かりませんが、自分の関心に沿って論文を執筆して形にできたことは嬉しく思います。

私からの一言:府外、しかも関東の事例を対象に全国的な視野から反対運動を検討し、問題の一般性を明らかにしようとした意欲的な論文です。また、それだけに現地調査に十分な時間がかけられたら良かったと思います。これからの新生活では類似の運動を直接目にすることもあるかもしれませんね。

栗田 汐里(くりた しおり)

常盤小学校区における子ども食堂の必要性と役割 論文(pdf 900KB)

 子ども食堂をテーマにし参与観察を通して調査するということは早い段階で決まっていたのですが、詰めが甘かったために執筆の最初から最後までずっと方向性に悩んでいました。4年間のその場しのぎの学習が最後になって自分を苦しめることになりました。執筆が進めば進むほど調査の甘さを感じることが多く、早めに論文の構成を考え調査方法を何度も練り直すことが重要なのだと思いました。
 このように正直反省点しかないのですが、この卒論執筆は、今までボランティア活動に対して抱いていたイメージを大きく変えるきっかけとなり、少しの勇気があればどんな人でも誰かの役に立てるということを知りました。また、全く知らないコミュニティに飛び込み人間関係を構築することは、難しいものではありましたが間違いなく今後の人生に役立つことになると思います。
 最後になりますが、聞き取り調査にご協力いただいた皆様、地理学教室の方々、そしてテーマ設定から執筆までご指導いただいた山崎先生、皆様のお力添え無しには論文を完成させることはできませんでした。本当にありがとうございました。

私からの一言:食を介した子どもの「居場所」が持つ意義を探るという深いテーマだけにアプローチや分析方法の点で難しい点があったと思います。しかし、実際に子ども食堂の活動に関わり、参与観察することから、外からは見えないものが見えましたね。これからもこうした問題について考え続けてもらえればと思います。

村上 ひかる(むらかみ ひかる)

変容する葬儀と死の受容―複数地域における活動団体からの考察 論文(pdf 1.3MB)

 卒業論文を書くにあたって、山崎先生はもちろん聞き取り先の方々に多大なるご協力を賜りました。この場をお借りして厚く御礼申し上げます。本当にありがとうございました。
 特に、葬儀という地理学教室では比較的珍しいテーマで最後まで書ききることができたのは、3年生の演習からご指導くださいました山崎先生のこまめな面談、アドバイスがあったからだと感じます。
 地理学とテーマをどのようにしてつなげていくか、先行研究の整理や実地調査にとりかかってからわかってきた部分もあり、自分にとって価値のある経験になりました。

私からの一言:共同体的な葬送が合理化・私事化されていく潮流の中で、どのように死の「共同性」が回復されようとしているか。そういうテーマで取り組まれた興味深い論文です。各現地調査の期間が短かった点が残念ですが、条件の異なる地域の事例から炙り出された新しい「死の受容」の在り方は大変示唆に富みます。