山崎孝史
地理学演習Ⅱ 2023(後期)
自己の関心の構造を知り、研究課題を練り上げる(山崎担当分)
時間と教室:
木曜日3限(13:15-14:45)
文学部増築棟 363室
担当教員:山崎孝史(やまざきたかし)
研究室:文学部棟358号室
電話:06-6605-2407
Eメール:yamataka[at]omu.ac.jp
オフィスアワー:事前連絡があれば随時面談可能です。
I 担当教員のプロフィール
1961年京都市生まれ。専門は政治地理学、特に地政学、社会運動、アイデンティティ・ポリティクス。調査フィールドは沖縄。日米安全保障関係の変化と沖縄の社会運動や投票行動との関わりを研究中。特技は合気道(4段)。
II 演習概要
本演習は、これまでの専門科目の受講ならびに地理学演習Iを展開させる形で、自己の関心の構造を知り、取り組むべき課題を設定し、具体的な調査地と調査方法をイメージしながら、卒論計画書を作成します。マインドマッピング、地理的写真観察法、さらに仮想フィールドワークを取り入れ、対象フィールドと卒論構想をつなぐ作業を進めます。本演習の集大成は年度末に予定されている第一回の卒論合同演習となります。今年度末の卒論・修論発表会への出席も義務付けられます。
III 演習の構成と評価
(1) 出席と参加
毎週の授業には必ず出席し、討論には積極的に参加して下さい。卒論・修論発表会への出席も義務付けられます。出席数が2/3以上の受講生を評価対象とします。欠席の場合は減点しますが、病欠などの場合は診断書や治療費領収書のコピー等を提示すれば減点しません。
(2) 課題プレゼンテーション
卒論計画書の作成に向けて、授業期間中数回の発表が義務付けられます。いずれも与えられた課題についてレジュメやパワーポイントを作成し、10分程度の発表を行います。(評価配分60点)
(3) 卒論計画書
卒論合同演習で使用する具体性のある卒論計画を作成します。(評価配分40点)
(4) 総得点60点以上を合格としますが、卒論計画書の提出がない場合は合格できません。
IV 演習内容
卒論のテーマの絞り込みは必ずしも容易ではありません。本演習ではお互いの研究関心について語り合い、評価し、励ましあいながら各自のテーマを考えていきます。ある程度テーマが現れたら先行研究などを参考にしながら、具体的なフィールドをイメージし、研究方法について考えます。そのプロセスは以下の6段階に分かれます。
①マインドマッピング:各自がマインドマップを作成し、その構図から自分の関心の構成を理解します。漠然とした関心をいくつかの要素の関係から可視化する方法です。
②写真観察法:①で見えてきた関心に沿って、各自が単独で野外調査を実施し、写真観察法によって景観の背後にある政治経済・社会文化的過程を探ります。例えば「○○化された」空間を見出す目を養います。
③キーワード検索:検索エンジンや学術論文データベースを用いて、複数のキーワードを効果的に組み合わせ、自分の関心に近い学術論文を探し出します。
④論文構成法:地理学分野を中心とする学術論文を題目、要旨、章節の構成、引用法などからその構成を理解し、分析方法と論述の組み立てについて理解します。そうした論文をモデルとして引用します。
⑤Why仮説の構築:論文の研究課題として「なぜ○○なのか」という問いを立てることが重要になります。各自の関心あるテーマについて、地理学的なWhyを見つけ、それに対する仮説的な答え(○○だからではないか)を見出しうるフィールドを絞り込みます。
⑥仮想フィールドワーク:ある程度フィールドの候補が絞り込めた段階で、Googleマップなどを用いてストリートビューによる仮想フィールドワークを実施します。航空・地上写真を複数年次で組み合わせ、電子化された地形図と対比するなどして、研究地域の実態を概観します。
これら一連の過程を通して卒論計画書を作成していきます。本演習では受講生を(その多寡にかかわらず)2グループに分け隔週で課題を発表する形で進めます。4年生の前期が就活等に費やされるのを鑑みると、3年生の後期で卒論の方向性を固めておくことに合理性はありましょう。
週番号 | 月 日 | テーマ |
1 | 9月28日 | 顔合わせ:一年後の自分を想像する |
2 | 10月5日 | マインドマッピングで関心を可視化する(1) |
3 | 10月12日 | マインドマッピングで関心を可視化する(2) |
4 | 10月19日 | 地理的写真観察法:街に出て景観の深層を探る(1) |
5 | 10月26日 | 地理的写真観察法:街に出て景観の深層を探る(2) |
(5) | 10月27日 | 卒論合同演習(出席奨励、12月14日の授業に振り替え) |
6 | 11月2日 | キーワード検索で研究の現状を知る(1) |
7 | 11月9日 | キーワード検索で研究の現状を知る(2) |
8 | 11月16日 | 学術論文の「構成」を読む(1) |
9 | 11月30日 | 学術論文の「構成」を読む(2) |
10 | 12月7日 | Why仮説を建て、フィールドを考える(1) |
11 | 12月21日 | Why仮説を建て、フィールドを考える(2) |
– | 冬休み中 | ぼちぼち卒論のテーマとフィールドを固め始める |
12 | 1月11日 | 仮想フィールドワーク:Googleストリートビューを用いて(1) |
13 | 1月18日 | 仮想フィールドワーク:Googleストリートビューを用いて(2) |
14 | 1月25日 | 卒論計画書(案)の検討 |
15 | 2月1日 | 第一次「卒論計画書」提出 |
– | 2月x日 | 卒論・修論発表会(出席してね) |
– | 3月x日 | 卒論合同演習(第二次「卒論計画書」提出) |
V 関連サイト
マインドマップについては、トニー・ブザンによるものが有名で、わかりやすく説明したサイトがあります。以下などを参照してください。 https://www.mindmap-school.jp/mindmap/what/
ただしツリー型のマインドマップは連想を前提としていますので、独立したかに見える思考が実は関連性を持つという「発見」に欠ける部分があります。そうした発見的な方法としては「KJ法」が有効です。KJ法については以下を参照してください。KJ法の考案者である川喜田二郎先生は本教室で助教授として勤務されていました。 http://www.ritsumei.ac.jp/~yamai/kj.htm
地理的写真観察法は、日本大学文理学部社会学科の後藤範章先生が提唱された「集合的写真観察法」に示唆を得て、私が地理学用にアレンジしたものです。授業の具体的内容は以下をご覧ください。http://www.lit.osaka-cu.ac.jp/user/yamataka/hbs.htm
VI ゼミ合宿
もし、新型コロナの感染が終息に向かうようであれば、学期終了後に提出された「卒論計画書」について集中的に討論し、フィールドで検証するために、ゼミ合宿の実施を考えます。平成28年度は沖縄県沖縄島・与那国島・石垣島、29年度は広島県尾道市・広島市、30年度は兵庫県神戸市・朝来市で実施しました(令和元年度は授業担当なし、令和2年度以降は実施していません)。状況が許すならば、年明けの授業時間の調整についてご相談いたします。
地理学概論A 2023(後期・調整中)
「政治」を地理学する―政治地理学の方法論
General Geography A
Doing Political Geographies: Methodologies in Political Geography
教室と時間
対面授業 1号館137室
毎週火曜日、午前10時45分から12時15分
担当:山崎孝史(やまざきたかし)
連絡先: yamataka[at]omu.ac.jp
担当者ホームページ: https://polgeog.jp/
講義ホームページ: https://polgeog.jp/archives/3693
I 担当教員のプロフィール
1961年京都市生まれ。2004年コロラド大学大学院博士課程修了(Ph.D.)。専門は政治地理学、特に地域社会軍事化、地政学、社会運動、アイデンティティ・ポリティクス。調査フィールドは沖縄。沖縄の基地所在市町村の変容、日米安全保障関係の変化と社会運動や投票行動との関わりを研究中。特技は合気道(四段)。
II 授業概要
心理学・社会学・教育学と比べて地理学の成立は古く、人類を取り巻く環境と密接に関わる地理的知識の体系化はギリシャ・ローマ時代にさかのぼる。本授業は人間―環境関係と地理的知識の体系化がどのようになされてきたのかについて概説したうえで、それらを考察するためのいくつかのトピックを具体的に例示する。それによって、グローバル化の時代において多様な地理的スケールで発生する飢饉、貧困、抑圧、差別、紛争、環境破壊を考える上で、地理学的知識がどのような意味を持ちうるのかを考察する。特に本年度は地理学から「政治」をとらえる方法論的視角に焦点を据えていきたい。
III 到達目標
単に過去から現在に至る局地的な事象を考察することを超えて、人類史的な視点から世界や地球環境をとらえることを目標とする。そうした視点をベースに、グローバル化の時代において多様な地理的スケールで発生する飢饉、貧困、抑圧、差別、紛争、環境破壊を考える力を養う。そして、地理学史の展開を踏まえて、地球大での環境と平和に資する地理学的視点を身につける。
IV 授業内容・授業計画
提供される資料の内容は当日の授業内容と若干異なることがありますので、ご留意ください。
週番号 | 月日 | テーマ(テキストの章) | 資料(学内限定) |
---|---|---|---|
第1週 | 9月26日 | 「政治」を地理学する(序章) | |
第Ⅰ部 地理学で「政治」を捉える | |||
第2週 | 10月3日 | 民主主義(1章) | |
第3週 | 10月10日 | 支配と対立(2章) | |
第4週 | 10月17日 | 地方自治(3章) | |
第5週 | 10月24日 | 外交・安全保障(4章) | |
第6週 | 10月31日 | 環境をめぐる政治(5章) | |
第Ⅱ部 「政治」の地理的諸相を描く | |||
第7週 | 11月7日 | コミュニティ(6章) | |
第8週 | 11月14日 | 宗教(7章) | |
第9週 | 11月28日 | ジェンダー(8章) | |
第10週 | 12月5日 | 観光(9章) | |
第11週 | 12月12日 | 農産物(10章、オンデマンド) | |
第Ⅲ部 「政治」空間の形成と変容を追う | |||
第12週 | 12月19日 | 大阪と佐世保(11章) | |
第13週 | 1月9日 | ウトロ(12章) | |
第14週 | 1月16日 | 沖縄島(13章) | |
第15週 | 1月23日 | 対馬(14章) | |
期末テスト | |||
第16週 | 1月30日 | 期末テスト |
Ⅴ 事前事後学習の内容
事前学習として、毎週講義前に教科書の指定章を読み、Moodleで示される各週の課題を考察し、その回答(あるいは討論時に発言したい内容)を当該講義前に提出してください(週レポート課題)。 授業中に受講生から示された意見や質問に答えますので、事後学習としてその内容を期末テストの準備に活用して下さい。
Ⅵ 評価方法
(1) 出席
Moodleチェッカーで16週のうち11回以上の出席が確認される受講生を評価対象とします。欠席の場合はその他の評価得点から減点する措置をとりますが、体調などの理由による欠席や遅延はその証明となる書類(医療費領収書や診断書のコピー)の提出があれば欠席とはみなしません。
(2) 週リーディングレポート(評価配分60%)
予習として毎週講義前に教科書の指定章あるいは課題文献を読み、Moodleで示される各週の課題を考察し、その回答(疑問点)を当該講義前日(月曜日午後5時まで)にMoodleを通して提出してください。提出されたレポートには評点を(場合によってはコメントも加えて)お知らせする予定です。
(3) 期末テスト(評価配分40%)
学期末に記述式のテストを実施する予定です。実施形態は授業中に説明します。体調不良などの理由でやむを得ず欠席する場合は、学生サポートセンターで追試の申請をして下さい。
(4) 講義ノート
講義はパワーポイントで行います。各週授業開始日前に主としてMoodleにアップロードし、授業期間終了までアクセスできるようにします。講義内容に関する質問は掲示板に書き込んでください。速やかに回答します。
(5) 評価 大学の規定に基づき評点が全体の60%以上の受講生を合格とします。
(6) 不正行為
課題等の不正提出や不正作成(盗作)、そのほか不正行為が認められた場合は、その時点で厳正な処置を行い、所属学部に報告します。チャットや掲示板での迷惑行為についても同様の処置を行います。
Ⅶ 教材・参考文献
本講義のテキストは山﨑孝史(2022)『「政治」を地理学する―政治地理学の方法論』(ナカニシヤ出版)です。受講生は生協などで入手しておいて下さい。それ以外に必要な教材は主にMoodleを通して提供・指示します。
Ⅷ コミュニケーション
講義に関する教員からの連絡や指示はMoodleからお知らせします。受講生からの質問や意見はMoodleのディスカッション・フォーラムに書き込むことができます。また、教員ウェブサイトにも「質問フォーム」が設置されていますので、こちらからも質問することが可能です。いずれの場合にも速やかに回答します。尚、電子メールによる個別の質問・相談も受け付けます。
Ⅸ その他
講義の課題について相談したいことがある場合は、遠慮なく山崎までご連絡ください。
地理学講読演習Ⅱ 2023(後期)
英語を通して人文地理学を概観する―人種・ジェンダー・環境の観点から
教室と時間
対面授業 文学部増築棟363室
毎週水曜日、午前10時45分から12時15分
担当教員:山崎孝史(やまざきたかし)
研究室:文学部増築棟358号室
電話:06-6605-2407 Eメール:yamataka[at]omu.ac.jp
オフィスアワー:事前連絡があれば随時面談可能です。
I 担当教員のプロフィール
1961年京都市生まれ。専門は政治地理学、特に地政学、社会運動、アイデンティティ・ポリティクス。調査フィールドは沖縄。日米安全保障関係の変化と沖縄の社会運動や投票行動との関わりを研究中。特技は合気道(4段)。米国西部にあるコロラド大学ボールダー校地理学部大学院に1998年から2001年まで3年間留学。
II 演習概要
本年度前期の講読演習は、Stentor Danielson (Slippery Rock University) が作成したオンライン人文地理学事典 Overview of Human Geography (以下OHG)を用いて、「人種とエスニシティ」、「ジェンダーとセクシュアリティ」、「環境正義」に係る項目を精読していきます。
III 演習の構成と評価
(1) 出席:指定された期日までに各週の課題を提出すること、ならびに討論に当日参加することによって出席とみなします。出席(課題提出)数が2/3以上の受講生を評価対象とします。未提出や提出が遅れた場合は減点しますが、体調と関わる場合は考慮しますので、事前ないし事後にお知らせください。
(2) 各週の課題:オンライン翻訳サイトを用いて、OHGから選ばれた課題項目について、全員で翻訳を進めます。課題項目の翻訳文と疑問点を演習実施日の前々日(各週月曜日)の午後5時までに指定のサイト(Googleドキュメント)にアップロードして下さい(70点)。
(3) 討論用完訳レポート:三つのテーマと関わる全体討論を実施します。また、各テーマの完訳文を完成し、最も議論したい論点や疑問点を一つ示したレポートを討論前々日(月曜日午後5時)までに提出して下さい(30点)。
(4) 以上の課題の内容を評価し、総得点60点以上を合格とします。
IV 演習内容
演習の日程や課題内容は状況に応じて変わることがありますので、ご了解ください。
週番号 | 月 日 | テーマ | 課題節 |
1 | 9月27日 | イントロダクション | |
2 | 10月4日 | Race and Ethnicity | Does race exist? |
3 | 10月11日 | Race and Ethnicity | “Race” vs. “Ethnicity”, The Geographical Origins of Race |
4 | 10月18日 | Race and Ethnicity | The Geographical Origins of Race, The Geography of Race |
5 | 10月25日 | Race and Ethnicity | The Geography of Race |
6 | 11月 1日 | テーマ討論 | |
7 | 11月8日 | Gender and Sexuality | What is Gender? |
8 | 11月15日 | Gender and Sexuality | The Geography of Gender |
9 | 11月29日 | Gender and Sexuality | Gendered Spaces |
10 | 12月6日 | Gender and Sexuality | Sexuality and Sexualized Spaces |
11 | 12月13日 | テーマ討論(意見のポストに振り替え) | |
12 | 12月20日 | Environmental Justice | The Unavoidability of the Justice Question |
13 | 1月10日 | Environmental Justice | Substantive vs Procedural Justice, Principles of Justice |
14 | 1月17日 | Environmental Justice | Principles of Justice |
15 | 1月24日 | Environmental Justice | Considerability |
16 | 1月31日 | テーマ討論 |
V テキト・課題文献
Stentor Danielson (Slippery Rock University) 著 Overview of Human Geographyのサイトは以下です。
http://debitage.net/humangeography/index.html
VI 辞書サイトとコミュニケーション
翻訳に際してはテキストを一括して機械翻訳するDeepLやGoogle翻訳がありますので、これらを併用して翻訳を進めて下さい。活用の仕方はGoogleドキュメントを通してお知らせします。
演習に関する諸連絡はGoogleドキュメントやMoodleを通して行います。演習日以外にも質問などをポストすることができますので、活用してください。翻訳などで困ったことがあれば遠慮なく教員に相談して下さい。
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現代地理学入門
地理学講読演習Ⅰ
地理学野外調査実習Ⅱ
大学院地理学基礎問題研究
地理学野外調査実習Ⅱ 2023(前期)
沖縄出身者と沖縄
時間と教室:
水曜日3限(13:15-14:45)
文学部増築棟L363号室
担当教員:山崎孝史(やまざきたかし)
研究室:文学部棟358号室
電話:06-6605-2407
Eメール:yamataka[at]omu.ac.jp
オフィスアワー:事前連絡があれば随時面談可能です。
I 担当教員のプロフィール
1961年京都市生まれ。2004年コロラド大学大学院博士課程修了(Ph.D.)。専門は政治地理学、特に地域社会軍事化、地政学、社会運動、アイデンティティ・ポリティクス。調査フィールドは沖縄。沖縄の基地所在市町村の変容、日米安全保障関係の変化と社会運動や投票行動との関わりを研究中。特技は合気道(四段)。
II 授業概要
2年生次に習得した野外調査の技量をベースに、前半では関西地方(6月ごろ実施予定)における一日エクスカーションの案内を企画・実施し、後半では沖縄県(9月ごろ実施予定)における野外調査を実施し、報告書を作成します。なお、本実習の一部は地理学講読演習Ⅰの内容と連携しており、野外調査に必要な経費の一部は自己負担となるので留意して下さい。
III 達成目標
野外調査に必要な調査の準備、計画、技術、公開に関わるスキルを向上させることができるとともに、座学を超えた地域の理解が可能となるでしょう。
IV 授業内容・授業計画
日程はあくまで現時点での予定ですが、5月から9月にかけて、春季エクスカーション下見、同案内、沖縄フィールドワークを実施します。特別な事情がない限り、参加して下さい。
週番号 | 月 日 | テーマ | 課題文献 |
---|---|---|---|
1 | 4月12日 | イントロダクション―授業の構成と他科目との関係 | |
2 | 4月19日 | 地域をガイドする①―エクスカーション(EX)地の選定 | |
3 | 4月26日 | 地域をガイドする②―EXテーマの調査 | |
4 | 5月10日 | 地域をガイドする③―EX地・テーマの地理的表現 | |
5 | 5月20日 | 地域をガイドする④―EX地の下見(予定) | |
6 | 5月27日 | 地域をガイドする⑤―EXの実施(予定) | |
– | 6月7日 | (山﨑イタリア出張、沖縄現地調査で振替) | |
7 | 6月14日 | 沖縄出身者聞き取り① | |
8 | 6月21日 | 沖縄出身者聞き取り② | |
9 | 6月28日 | 沖縄出身者聞き取り③ | |
10 | 7月4日 | 沖縄出身者聞き取り④ | |
11 | 7月11日 | 沖縄調査準備① | |
12 | 7月18日 | 沖縄調査準備② | |
13 | 9月10-13日、13-16日 | 沖縄現地調査① | |
14 | 9月10-13日、13-16日 | 沖縄現地調査② | |
15 | 9月10-13日、13-16日 | 沖縄現地調査③ |
V 成績評価方法と履修上の注意
各週課題(30%)、口頭発表・ガイド(30%)、現地調査報告書(40%)から評価し、評点の60%以上を合格とします。本実習は、ハワイ大学との交流を行う地理学講読演習Ⅰ・Ⅱと緊密に連携していますので、できればこれらの科目も受講して下さい。授業に関する各種通知は学習管理システム(Moodle)および教員ホームページ(polgeog.jp)を通して行います。
VI 教材・課題・参考文献
山﨑孝史編『「政治」を地理学する—政治地理学の方法論』ナカニシヤ出版、2022年。教科書に示されている参考文献のほかは、授業中に指示します。
VII その他
授業に関する疑問点や相談したいことがある場合は、いつでも遠慮なく山崎までご連絡ください。
地理学講読演習Ⅰ 2023(前期)
Political geographies of Okinawa
沖縄の政治地理
教室と時間
文学部増築棟L363号室
毎週水曜日、午前10時45分から12時15分
担当教員:山崎孝史(やまざきたかし)
研究室:文学部増築棟L358号室
電話:06-6605-2407 Eメール:yamataka[at]omu.ac.jp
オフィスアワー:事前連絡があれば随時面談可能です。
I 担当教員のプロフィール
1961年京都市生まれ。専門は政治地理学、特に地政学、社会運動、アイデンティティ・ポリティクス。調査フィールドは沖縄。日米安全保障関係の変化と沖縄の社会運動や投票行動との関わりを研究中。特技は合気道(4段)。米国西部にあるコロラド大学ボールダー校地理学部大学院に1998年から2001年まで3年間留学。
II 授業概要
地理学において、外国語は少なくとも英語の能力を磨くことが求められます。なぜなら、学界の最新の研究動向を知るには英語文献の読解力が前提となり、 将来自らの仕事や研究の成果を国際的に発信していく上で英語が鍵を握るからです。本演習ではこうした観点から英語文献の精読とそれに関する口頭発表を行います。本演習では、人文地理学関連(オンライン事典など)のサイトを用いていくつか選ばれたトピック項目を全員で翻訳・精読していきます。学期末には課題サイトの内容をもとに各自で関心のあるテーマについて英字新聞記事を選定し、その内容を発表します。以上を通して英語文献の内容理解のノウハウを習得します。なお、本年度は地理学野外調査実習Ⅱの訪問先である沖縄に関する主に植民地化の歴史と政治地理について英語で学習していきます。
III 授業の到達目標
英語学術文献を効率的に翻訳し、内容を理解するノウハウを習得できるようにします。同時に自らの関心に応じたテーマを英語資料から探り出し、外国におけるテーマのとらえ方について理解した上で、要約提示する能力を身につけます。
IV 事前事後学習の内容
各週の翻訳課題や英作文は担当者が事前にGoogleドキュメントにアップロードし、教員のチェックを受けます。発表された成果については事後参照できるようGoogleドライブにアップロードします。授業にはノートパソコンをご持参ください。
V 評価方法
(1) 出席:指定された期日までに各週の課題を提出すること、ならびに討論に当日参加することによって出席とみなします。出席(課題提出)数が2/3以上の受講生を評価対象とします。未提出や提出が遅れた場合は減点しますが、体調と関わる場合は考慮しますので、事前ないし事後にお知らせください。
・オンライン(遠隔)授業について
本演習では状況によって遠隔授業を実施することがあります。その場合はMoodle、Zoomなどのシステムやアプリケーションを活用する予定です。具体的な活用の手順は追ってお知らせしますが、受講予定者は(特に授業時間帯に)インターネットアクセス可能な環境とデバイスの確保を心がけてください。
(2) 各週の課題:オンライン翻訳サイトを用いて、課題文献について、全員で翻訳を進めます。課題項目の翻訳文と疑問点を演習実施日の前々日(各週月曜日)の午後5時までに指定のサイト(Googleドキュメント)にアップロードして下さい(70点)。
(3) それぞれの課題の内容を評価し、総得点60点以上を合格とします。
VI 演習内容
各週のテーマは暫定的なもので、順次更新・確定されます。課題文や課題動画には執筆者・作成者自身の観点が反映されていますので、それを踏まえて読み・聞き取るように心がけてください。必要に応じて課題以外の資料も参照して下さい。
週番号 | 月 日 | テーマ | 課題文・動画 |
---|---|---|---|
1 | 4月12日 | Introduction to the course: How to translate quickly | New Imperialism in “Pacific Ocean” (Wikipedia) 「太平洋」日本語解説 |
2 | 4月19日 | Ryukyu Kingdom and Japan: Tributary relations | Ryukyu Kingdom (Wikipedia) 「琉球王国」日本語解説 |
3 | 4月26日 | Ryukyu Kingdom and Japan: Ryukyu Disposition | Ryukyu Disposition (Wikipedia) 「琉球処分」日本語解説 |
4 | 5月10日 | Integration of Okinawa into Japan 遠隔授業 |
History of Okinawan language (Wikipedia) |
5 | 5月17日 | Battle of Okinawa in 1945 | Battle of Okinawa (wikipedia) 「沖縄戦」日本語解説 |
6 | 5月24日 | US military occupation and administration (1) 遠隔授業 | Movie (学内限定) 「米軍の沖縄上陸、占領と統治」(論文) |
7 | 5月31日 | US military occupation and administration (2) | Movie (学内限定) 「米軍の沖縄上陸、占領と統治」(論文) |
8 | 6月7日 | Okinawan protest against the US military (1) 自習課題 | |
9 | 6月14日 | Okinawan protest against the US military (2) | Koza Riot (Wikipedia) ETV特集(学内限定) |
10 | 6月21日 | Article on contemporary Okinawa (1) 発表準備 | |
11 | 6月28日 | Article on contemporary Okinawa (2) | TBD |
12 | 7月5日 | Article on contemporary Okinawa (3) | TBD |
13 | 7月12日 | Article on contemporary Okinawa (4) | TBD |
14 | 7月19日 | Article on contemporary Okinawa (5) | TBD |
15 | 7月26日 | Article on contemporary Okinawa (6) | TBD |
VI 課題文献・辞書サイト
具体的な課題文献は順次お知らせしていきますが、読み通すのに時間がかかる学術論文よりも問題を焦点化して執筆される英文の解説ウェブサイト(Wikipediaなど事典サイトや関連組織の公式サイト)や翻訳字幕を利用できる動画を主たる資料とし、翻訳と理解を進めます。翻訳に際してはテキストを一括して機械翻訳するDeepLやGoogle翻訳がありますので、これらを併用して翻訳や英作文を進めて下さい。その他の連絡はGoogleドキュメントほかを通して行います。
VII 辞書サイトとコミュニケーション
演習に関する諸連絡はGoogleドキュメント、Moodle、さらには教員のホームページ「政治地理のページ」を通して行います。演習日以外にも質問などをポストすることができますので、活用してください。翻訳・英作文などで困ったことがあれば遠慮なく教員に相談して下さい。
現代地理学入門 2023(前期)
現代地理学入門―人間の領域性を考える
時間と教室:
火曜日4限(15:00-16:30)全学共通教育棟813号室(地図参照)
対面授業
担当教員:山﨑孝史(やまざき・たかし)
研究室:文学部新棟358号室
オフィスアワー:事前連絡の上、随時
Eメール:yamataka[at]omu.ac.jp([at]は@に)
電話:06-6605-2407(研究室)
ティーチング・アシスタント:伊藤航(いとう・わたる)
I 担当教員の自己紹介
京都市生まれ。専門は政治地理学、特に地政学、社会運動、アイデンティティ・ポリティクス。調査フィールドは沖縄、日米安保体制の変化と沖縄の社会運動と投票行動との関わりや、復帰前の沖縄における米軍統治の実態などについて研究中。特技は40年以上続けている合気道(四段)。
II 授業概要
現代の地理学は、都市と農村、景観、食糧供給、工業立地、流通システム、政治、観光、文化、地図、地理情報、公共政策・環境問題といった多面的な問題を学ぶことのできる分野である。本講義は大きく「地域の見方」、「経済活動の地理的特徴」、「地理的想像力」、「歴史地図の読解」、「地理学と現代社会との接点」の5部から構成され、対象によって分類される地理学の視角と分析方法についてわかりやすく講述する。地理学を通して、過去から未来、そして地域から世界へと、私たちの思考を拡げていく。
III 授業の到達目標
各回の講義と課題の事前・事後学習を通して各週のテーマ、すなわち主要な地理学分野に関わる主題について、地理学的な見地から理解できるようになることを目指す。その理解の到達度については、各週課題の事後確認によって進捗を確認するとともに、小テストによって各段階での到達度を確認する。
IV 授業内容・授業計画
授業回 | 月 日 | テーマ | テキストの章 | 資料(学内限定) |
---|---|---|---|---|
1 | 4月11日 | イントロダクション(講義ガイダンス) | はじめに | |
2 | 4月18日 | 地域の見方―領域性の意味と理論(1) | 第1章 | |
3 | 4月25日 | 地域の見方―領域性の意味と理論(2) | 第1~2章 | |
4 | 5月9日 | 経済活動の歴史地理―領域性のモデル(1)オンデマンド | 第3章 | |
5 | 5月16日 | 経済活動の歴史地理―領域性のモデル(2) | 第3章 | |
6 | 5月23日 | 第一回小テスト | 第1~3章 | 解答例 |
7 | 5月30日 | 宗教の地理的想像力―カトリック教会(1) | 第4章 | |
8 | 6月6日 | 宗教の地理的想像力―カトリック教会(2)オンデマンド | 第4章 | |
9 | 6月13日 | 米国の歴史地図―領域的システム(1) | 第5章 | |
10 | 6月20日 | 米国の歴史地図―領域的システム(2) | 第5章 | |
11 | 6月27日 | 第二回小テスト | 第4~5章 | 解答例 |
12 | 7月4日 | 現代社会との接点―職場の領域性(1) | 第6章 | |
13 | 7月11日 | 現代社会との接点―職場の領域性(2) | 第6章 | |
14 | 7月18日 | 現代社会との接点―職場の領域性(3) | 第6章 | |
15 | 7月25日 | 総括―領域性の事例 | 第7章、解題 | |
16 | 8月1日 | 期末テスト | 第6章~解題 | 解答例 |
V 成績評価方法
原則としてテスト日を含む授業回数の2/3以上の出席者を成績評価の対象とします(Moodleに記録されたデータを用います)。到達目標の達成度については、第一回・第二回小テストについては教科書で説明される理論の理解の程度、期末テストについては理論の応用力が試されます。三回のテストの合計点100点満点に対して60点以上得点して、人間の領域性の理論を理解し、それを現代社会に応用して考えることができると判断された場合に合格とします。
VI 履修上の注意
講義ホームページ(https://polgeog.jp/)と学習管理システム(Moodle)を用いて講義を進めますので、講義スライド等の必要な情報を各媒体から入手し、講義に臨んでください。
VII 教科書
ロバート・サック(山﨑孝史監訳)『人間の領域性―空間を管理する戦略の理論と歴史』明石書店、2022年(授業は本書に忠実に沿って進め、試験の際も持ち込めますが、購入は任意とします)
2022年度卒業論文
西田 歩莉(にしだ あゆり)
創作作品における遊郭表象―『鬼滅の刃』と『この世界の片隅に』との比較から
論文(pdf 4.72MB)学内限定公開
卒業論文執筆にあたって指導教員の山﨑先生には厚くお礼申し上げます。元々文化の方面にばかり興味が向いていた中でどう「地理学」の枠組みで研究をしようかと悩んでいた時、山﨑先生に「遊郭」を提示して頂いたことが天啓のように感じたのを思い出します。どうしても学術的な問題とぶつかるテーマな為、これで良いのかと葛藤することもありましたが、山﨑先生のご指導の元、なんとか完成させることができました。個人的にはとても楽しく卒業論文を書くことが出来た為、このテーマで、そして指導教員が山﨑先生で良かったです。
私からの一言:マンガやアニメで描かれる場所という、地理学コースではほとんど扱われなかったテーマに取り組むということで、分析方法を色々工夫しないといけない論文でしたね。しかし、アニメ化されたマンガ二作品を作品間と媒体間で比較する構成にすることでかなり説得力と読み応えのある論考になったと思います。
増田 一輝(ますだ かずき)
宇都宮市のLRT導入計画はなぜ実現したのか―事業広域化と都市ビジョンの検討から
宇都宮市のLRT事業について扱うことは決まっていましたが,調べれば調べるほど,その情報量の多さから何をどのように書けばよいのか,苦悩する日々でした。山崎先生にはその都度アドバイスをいただき,方向性を示して下さいました。本当にありがとうございました。内容に関しては,出来事をうまくまとめるのに精一杯で,単調な議論になってしまったことを悔やんでいます。もっと地理学的な視点に軸足を置くことができれば,面白みのある研究になったと思います。これもひとえに、自分の勉強不足を痛感しています。とはいえ,非常に興味深いこのテーマで一つのものを書き上げることができたことは嬉しく,その過程でたくさんの学びを得ることができました。卒論を終えた今はただ,もう少しで開業する芳賀・宇都宮LRTに乗ることを楽しみにするばかりです。
私からの一言:事業計画が紆余曲折を経て実現に至る過程は収集した資料から良く描けていたのですが、テーマが早めに決まっていたのに対して、資料収集の時期が遅れ気味で、集めた資料からさらにどんな考察を展開できるかについて考える時間が少し足りなかったかもしれませんね。日本で初めての新設LRTがこれからどう評価されていくかは確かに注目されますね。
山野井 愛友(やまのい あゆ)
富田林寺内町の持続可能なまちづくりと女性の役割
論文(pdf 1.82MB)学内限定公開
以前から興味のあった空き家問題にジェンダーの視点を取り入れたことで、私自身「まちづくり」についての新たな見方や考え方を得られたと感じています。
しかし、女性についての論文であるにも関わらず、女性店主への取り調査を十分に行うことができなかったため、偏った視点からの論文になってしまいました。このような点は反省すべき点であり、まだまだ突き詰めていく必要がある点だと思います。
最後になりましたが、卒業論文執筆において聞き取り調査にご協力いただいた皆様、幾度も貴重なご指導をいただきました山崎先生に心から感謝申し上げます。本当にありがとうございました。
私からの一言:大都市郊外の重伝建地区におけるまちづくりをめぐる構造的問題をジェンダー(女性就労)の視点から切り込むという大変興味深い論考です。そうした文脈の中で女性の主体性をどこまで把握できたかという点ではやや物足りなさが残るものの、フィールドに何度も出かけ、地域の実態を浮き彫りにした点は評価できます。
芳田 翠子(よしだ みどりこ)
無居住神社における神職・氏子の役割と氏子意識―奈良市内の3神社を事例に
論文非公開(閲覧を希望される方は山﨑までご連絡ください)
要旨:本研究では、奈良市内の氏神神社3社を事例にどのような形で神社兼務が行われ、どのような形で住民が氏子とみなされ、神社と関わっていくのかを明らかにする。調査の結果、信仰の内容によらず、神社運営の主体となる周辺住民との合意によって神職は神社の兼務を行うことが明らかになった。さらに、無居住神社では地縁だけではなく血縁、氏子費の納入、神社との日常的な関係性の深さが氏子として認められる要素となることが示されたが、そうした氏子は減少傾向であり、神社維持のための新たな取り組みが模索されている。
コメント:卒業論文の執筆にあたり、聞き取り調査にご協力いただいた神職・氏子の皆様、2年にわたり指導教員を務めてくださった山崎先生に厚く御礼申し上げます。
地理学コースに所属する以前から神社に関心を持っていましたが、自身の興味と論文のテーマとを上手く繋げられず難儀し、またコロナ禍や就職活動の中で自分を見失ってしまったことで、方向性が定まるまでにかなりの時間を費やしてしまいました。山崎先生が親身になって指導してくださったこともあり、なんとか論文を完成させることはできましたが、初期の迷走が調査時間や内容の不足を招き、現代の宗教観と関連させた発展的な考察まで至らなかった部分は反省点です。
一方で、紆余曲折を経て最終的に無居住神社をテーマにできたことで非常に自分らしい論文になったとも感じています。また、兼務をされている神職の方と、日常管理を担われている氏子の方々の双方にお話を伺えたことは、神社の実態を考える上で得難い経験となりました。失敗や悩んだ点も含め、卒業論文執筆の一連の学びを今後の生活で活かしていければと思います。
私からの一言:体調の問題もありながら、卒論を書き上げることができたことがまず良かったと思います。しかし、テーマは大変興味深く、現代における神道と地域社会との関係をつまびらかにした点で評価できる論文です。地理学が宗教を扱うなら、こうしたアプローチがありうるということを、少子高齢化という現代的な文脈から明らかにした論文でもあります。
人間行動学概論B(2022年度後期前半)中間試験解答
20点満点(ただし22点まで得点可能)
問題1 ④
問題2 ⑤
問題3 ①
問題4 ③
問題5 ⑤
問題6 ①
問題7 ④
問題8 ②
問題9 ③
問題10 ③
問題11 ④
問題12 ①
問題13 ③
問題14 ②
問題15 ⑤
問題16 ④
問題17 ②
問題18 ③
問題19 ⑤
問題20 ③
問題21 ⑤
問題22 ①